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軽蔑(1963)

ジャン=リュック・ゴダール監督の「軽蔑」を見た。ゴダール作品はどちらかと言えば(見た目はともかく内容的に)苦手なんだけど、映画史における存在意義という意味では避けて通れないなぁ…とか思いながら、たまに見てみる。

「軽蔑」も絵的には美しい。物語は… これはまだマシな方かな。

めっちゃ美しい奥さんをもらった劇作家の主人公。映画冒頭では2人のラブラブっぷりが描かれるのだが、主人公が(本人曰く、奥さんのためにつかうお金目当てに)フリッツ・ラング監督の芸術作品を下世話な脚本にリライトする仕事を受け、その仕事をくれたプロデューサーにあまりに媚びる態度をとったことから、彼に対する奥さんのリスペクトは急激に消え去り、1日にして2人の関係は壊れてしまう。

主人公は何とかもとの関係に戻そうと、彼女が気を悪くした原因を執拗に尋ね、答えない彼女の頬をはたき、彼女の彼に対する「軽蔑」はますます増大する。

裏話として、当時のゴダールと奥さんの関係性からこの物語が生まれている説もあるが、それも納得できるほど、女性の気持ちを慮れないばかりにぐちゃぐちゃになっていく男女関係や男の焦りを、ストレートに訴え続けて、見ていて正直鬱陶しい。

ただ、この美しき奥さん役を絶頂期のブリジット・バルドーが溢れる魅力で演じ、伊達男を標榜する駄目男をミシェル・ピッコリが苛つくほど見事に演じ、それにも増して凄いのが、劇中に登場する映画監督フリッツ・ラングを本人が演じていること! このキャスティングは本当に凄い。作品はいくつも見てるけど、動くフリッツ・ラング監督の姿をこんなに長時間見たのは初めてで、これだけで見た甲斐があったというものだ。

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