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ヒューマン・ボイス(2020)

ペドロ・アルモドバル監督「ヒューマン・ボイス」を観た。ジャン・コクトーの戯曲「人間の声」を翻案し、監督自身初の英語作品として描いた30分の短編作品。

主演はティルダ・スウィントン、ほぼ1人舞台である。恋人に別れを告げられてひとり苦しむ女性の姿、そこに恋人からかかってきた電話を受けての電話口での会話劇。これだけで物語を展開する。

元恋人のスーツケースの横で女性は元恋人がスーツケースを取りに来るのを待つ。しかし、彼は来ない。女は待ち続けた3日間のうち、一度だけ外出をし、斧と缶入りガソリンを買ってきた。女は無力感にさいなまれ、絶望を味わい、理性を失い、部屋の中で暴れ、睡眠薬を飲み、ベッドに倒れ込む。

そこへ、ようやく元恋人からの電話がかかってくる。彼女は出来るだけ落ち着いて話そうとするが、だんだんと自分の感情が制御できなくなる。

30分の短編ながら、洒落ていて華麗な衣装と整然としたセット、その中で制御が効かなくなる女性の心の動きを見事に表現するティルダ・スウィントン。あっという間の時間ではあるが、かなり見応えのある仕上がりです。

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