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離ればなれになっても(2020)

ガブリエレ・ムッチーノ監督「離ればなれになっても」を観た。

ローマで暮らす16歳のパオロ、ジュリオ、リカルドは大親友。いつも一緒につるんで、遊んだり語り合ったりしている。

そんなある日、パオロは"宝石=ジェンマ"という名の美しいジェンマと恋に落ちた。が、ジェンマの母が亡くなり、彼女はナポリの叔母の家に引っ越さなければならなくなってしまう。

「私のことを絶対に忘れないで!」と叫んでナポリに旅立ったジェンマだが、居心地の悪い叔母の家で過ごすのが嫌になり、その美貌に惹かれて集まってくるタチの悪い地元の男たちと暮らすようになる。

数年が経ち、パオロは臨時教員、ジュリオは弁護士、リカルドはエキストラ俳優になった。そんなある日パオロは、たまたまローマに遊びに来たジェンマと恋人に出くわす。ジェンマはすっかり別人のように変わっていたが、パオロはそれでも彼女が好きで、心を揺さぶられる。そして、ジェンマも…

このパオロとジェンマが16歳で出会った1982年から2022年までの40年間にわたる2人の変遷を、それぞれの人生、そしてジュリオとリカルドの人生も合わせてたっぷりと描く芳醇なヒューマンドラマ。

個人的にはジェンマが身勝手すぎてケバくて苦手。確かにパオロは自信がなくて気弱すぎて、ジェンマとはこういった関係になってしまうのかなぁ…と思ったりもするが。登場する4人がみんな不完全なあまりに不安定な人生を歩むことになるのだけど、それだけに、たまにお互いに寄りかかれる関係にあることが救いなんだよね。

めっちゃ面白いとか、完成度の高い脚本だとか、そういう大層な作品じゃないけど、どこにでもいる人間の、幸福も不幸もある(ちょっと不幸寄りな)4つの人生を飽きさせずに見せてくれる、悪くない一作でした。

それにしても、登場人物の気性の激しさというか、感情表現の幅は凄いですね。好き好き大好き☆なときと、オマエなんか大っ嫌いじゃ〜ってときの振り幅が…

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