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悪魔のいけにえ2(1986)

このたび日本版の4K UHDが発売されたので、トビー・フーパー監督の1986年作品「悪魔のいけにえ2」を久しぶりに観た。

1974年に同監督が撮った「悪魔のいけにえ」は、粗いフィルムのドキュメンタリー風なタッチで、田舎町に迷い込んだ若者たちに次から次へと理不尽に恐ろしい出来事が襲いかかるあまりにも強烈な作品で、歴史に残るホラー映画。

誰が作っても超えられるはずがないこの「悪魔のいけにえ」を、12年後にトビー・フーパー監督自らが続編に挑んだということで、一体どんな映画が作られるのかと、当時リアルタイム世代だった僕らはドキドキして映画の完成を待ったのだった。

そして、1986年10月、待望の日本公開。早速劇場へ! 手に汗握り映画を観て…

ポカーーーン( ゚д゚)

映画は冒頭から変なハイテンションで、大騒ぎするアホな若者や、向こうみずに危険に飛び込んでキャーキャー騒ぎ続けるDJ女子や、完全に気が狂ったレザーフェイスのご家族の皆さんや、復讐を誓うアタマのネジが緩んだデニス・ホッパーが、よってかたかってドタバタ暴れ回る、出来損ないのギャグマンガみたいな映画に仕上がっていた。

とにかくうるさく、やることなすこと、みんなバカ。恐ろしいほどどうしようもない「悪魔のいけにえ2」に、トビー・フーパー監督の覚悟と開き直りを見た!

【以下、ネタバレ】
前作で情けの欠片もなく若者をチェーンソーで切り刻んだレザーフェイスがDJ女子に惚れちゃうのが今回の切り口なんだが、何度レザーフェイスが助けてもDJはわざわざピンチに向かって行動を繰り返す。巻き込まれたラジオ局のエンジニアが最も悲惨だ。

1作目で被害者となった車椅子の青年の叔父として復讐のためにやってきたデニス・ホッパーは、チェーンソーにはチェーンソーを!と、3丁チェーンソーで一家に挑む。…んだけど、アジトである廃遊園地の穴蔵を支える柱をどんどん切り倒す時間の方が一家と戦っている時間より長い。何やってんだ!?

一家は1作目以上にずっとテンション高くわけのわからん異常な行動をするが、その妙なテンションと騒がしさで1作目のような恐怖が生まれない。

そして、手榴弾でドーン! 転げ落ちてギャー! チェーンソーをぶんぶんと振り回すDJ女子。

いったい、我々はこれをどう受け止めれば良いのだろうか…

(とか言ってるけど、レーザーディスクからDVD、Blu-ray、4K UHD…と、新たなバージョンが出るごとに日本版も海外版も買っているのだから、そんな自分の方がいかがなものか?と思うよ。)

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