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ラ・ルナ(2022)

M・ライハン・ハリム監督「ラ・ルナ」(シンガポール/マレーシア映画)を東京国際映画祭で観た。

マレーシアにある、とあるムスリムの村。そこは、わずかな変化をも嫌う村長が自分の価値観で村のルールを決め、住民は皆、村長の決めたルールに従って暮らしていた。

女性は男性に一切逆らってはいけないし、男の子がちょっとしたマンガ風な女性キャラの絵を描くだけでも許されない。警察署長の娘のティーンエイジャーは、村長の古臭くて自己中心的なルールに反発しては叱られていた。

そんな村に、ある日都会からハニーという女性がやってきて、女性ランジェリー専門店「ラ・ルナ」をオープン。たちまち店は女たちの集いの場になるが、変化を嫌う村長は「あの店は悪魔の店だ。村のみんなで悪魔を追い出そう」と指導する。

女性たちはハニーの店が大好きだし、ハニーの店のセクシー下着を付けた女性たちにメロメロになった男たちも心の底では村長の指示に疑問を抱いていた。しかし、村長に逆らうわけにはいかず…

物語の途中でDV夫に大怪我をさせられた女性を匿ったハニーに対して村長が「女は男が思うように扱っていいものだ。殴っても怪我をさせても自由だ」と妻を殺しかけた男を庇う姿と、「男子禁制の女性ランジェリーショップは女性を守る安全地帯だ」と語るハニーの対称的なスタンスがこの映画の骨子。

古い価値観や差別との戦いを、ちょっとしたほのぼの恋愛要素を絡めつつ、コメディタッチに寄せて描く本作はなかなか楽しく心地の良い一作である。おすすめ。

※明日10/26(木)13:35上映会のチケットが現在発売中。


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