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渚の果てにこの愛を(1970)

ジョルジュ・ロートネル監督「渚の果てにこの愛を」を見た。「MORE モア」で注目を集めたミムジー・ファーマーの主演作品。

叩きつけるように降る大雨の中をオープンカーに乗って走り去る若い男と、彼を呼び止めようと叫ぶ中年女性。この切迫感にかられる冒頭のシーンが、まず良い。

やがて男は警察に辿り着き、まだ降り続く大雨の中を警官と共にもといた場所に戻ってゆく。
「一体、何があったんだ!?」
男は初めてこの道を歩いて来たときの話を語り始める。

最初に何が起きたかを見せずに、何故そういう事態になったのかを追いかけていく構成が面白い。物語の中にはいくつかの嘘と謎があり、嘘がバレないかという緊張感と、謎解きの要素が映画を引っ張っていく。

リタ・ヘイワース演じる息子の帰りを待ち侘びていた母親と、ミムジー・ファーマー演じる美しくも謎めいた女性が、それぞれ何を考えてるかわからない底深い不気味さを醸し出していて、これがまた深みを増す。

予告編や映画の紹介文から、もっと"禁断の恋愛モノ"みたいな印象を受けていたら、思いの外サスペンス要素の方が強くて、とても面白く見させていただきました。

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