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藍色夏恋(2002)

映画評論家の松崎健夫さんが"1番好きな台湾映画"として紹介していたイー・ツーイェン監督の2002年作品「藍色夏恋」をBlu-rayで見た。

高校生のちょっとこんがらがった淡い恋を瑞々しく描く、とても清々しい映画。

17歳の女子高生モンは、親友のユエチャンにしつこく頼まれて、ユエチャンが未来の旦那と想いを寄せる水泳部のチャンに声をかけ、ラブレターを渡す。

しかしチャンの方は、友達の名前をダシにしながら本当はモンが自分を好きなのだと誤解し、モンに好意を持ってしまう。チャンから「付き合おうよ」と申し入れられたモンは、親友を気遣って曖昧な態度を取るのだが、実はモンにはチャンの好意を受け入れられない秘密の理由があった。

「私は面倒くさい女だよ」と言うモンの生真面目で無愛想な態度、チャンのいかにも高校生男子らしい真っ直ぐな態度、そんな2人が風を切って台湾の街を自転車で爽快に走り抜ける姿が実に心地良い。

映画の冒頭で「未来なんか何も見えないよ」と言っていたモンが、最後に「あなたの未来の姿だけは見える」と語れる青春時代の心の成長ぶりが美しい余韻を残す。

当時新人俳優としてチャンを演じたチェン・ボーリン、モンを演じたグン・ルンメイは、いかにも高校生といったぎこちなさを見事に表現していて素晴らしかった。

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