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ポップコーン(1991)

こないだジョー・ダンテ監督の「マチネー 土曜の午後はキッスで始まる」を見て、1960年代に劇場でさまざまな仕掛けをして観客を盛り上げたウィリアム・キャッスル的な映画の世界をもう少し見たい気持ちになったので、こんなときのためにビデマさんで買っておいた海外版Blu-rayで、マーク・ヘリアー監督の1991年作品「ポップコーン」を見てみました。

大学生のマギーはしばしば恐ろしい夢を見る。夢の中では妙な男が謎の儀式のようなことをしていて、夢の中でその男に"サラ"と呼ばれる彼女は大きな剣で差し殺されそうになり… 目が覚める。何故いつも同じ夢を?

さて、サラが所属する映画研究会は資金集めのために、ハロウィンの日に50年代のB級ホラー映画のオールナイト上映を企画した。今さら昔の映画を劇場に観に来ないんじゃないの?という声もあがるが、今回上映する3作品は3D、電気ショック、臭いという劇場でしか体験できないリアルなギミックを使う映画だからウケるよ!と。このへんがウィリアム・キャッスル映画の世界です。

舞台は閉館して3週間以内に取り壊す劇場。どうせ壊すから、もうやりたい放題! 劇場を掃除してわいわいとギミックの準備をしていたら、なんだかいわくありげな古いフィルムを発見。試しに上映してみたら、なんとマギーの夢と同じ映像が映し出されて彼女はショックを受ける。

実はこのフィルム、カルト教団を主宰していたランヤード・ゲイツという人物が、客の入った劇場で映画の最後のシーンを撮影しながら自分の家族を殺し、観客を劇場に閉じ込めたまま火をつけるというとんでもない儀式をやった記録映像なのだという。てことは、マギーの夢に出てくるシーンって…

マギーが不安を抱きながらも迎えたB級ホラー映画オールナイトは大盛況で、仮装した若者たちで満員御礼。しかし、その中に怪しい人物が紛れ込んでおり、マギーに「サラ…」と呼びかけてきたりして。

人形も飛び出す3D、座席に電気が流れるショック体感、臭い匂いが劇場に充満するアロマラマ… まさにギミック満載の上映会はめちゃくちゃ盛り上がってますが、その盛り上がりに紛れてひとり、またひとりと映画研究会のメンバーが殺されていく。そして、ついにマギーにも危機が迫る!

と、映画全体(特に前半)をウィリアム・キャッスル的な映画の世界で包み込み、その中で夢がリアルになったような殺人事件が起きるという一風変わったテイストの作品。懐かしさ、楽しさの上にホラー映画が乗っかる感じの、一粒で二度美味しい風味な作品でした。まぁ、決して凄い出来の映画ではありませんけど…

【ネタバレ】
たぶん、この映画見るの結構ハードル高いので、せっかく必死に英語字幕読んだので、お話の流れを記録しておきます。

実は、カルトの殺人鬼のランヤード・ゲイツはマギー(元の名前はサラ)の父親で、観客の前で母親を殺された後に剣で殺されそうになった彼女を叔母さんがゲイツを撃ち殺して助け、名前を変えて娘として育ててくれたことがわかる。

映画は、死んだはずのゲイツが実は生きているのではないかとミスリードさせながら物語を進めていくのだが、今回の上映会を提案した映画研究会のトビーが真犯人。

彼の母親はゲイツの信者で例の殺人が行われた劇場に幼いトビーを連れてきていて、火を放たれた劇場で母親は焼け死に、トビーも全身を大火傷したことによってまともな人生を送れなかったことを逆恨みし、ゲイツが成し遂げられなかった舞台上でのマギー殺害を実行しようとしていたのだったーって!

顔も焼け爛れてしまったトビーが、巧妙なフェイスマスクをつけて暮らしているというのがオープニングのフェイスマスクの映像だったわけ。

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