2019.10.17函館教育大韓国語授業資料「挨拶」

次回のテーマは、「挨拶」です。「挨拶」大事ですよね。知り合いなのに挨拶してくれなかったら、「前あったとき何か失礼なことしたんじゃないか?」とか「あれ、自分いじめに合ってる?」と不安になりますし(ですから、私と会ったときは挨拶しましょう。そうじゃないと、情緒不安定なままで授業することになります)、学校で別れの挨拶もなしにその場を立ち去ったりすると、「そこまで仲がいいと思われてないのかな」と、ちょっと残念な気持ちになってしまいます(恋愛での別れは、はっきり告げないとストーカー事件に発展することもあるので気をつけましょう)。
 とにかく「挨拶」は大事です。だけど、そもそも「挨拶」って何なんでしょうか。そして、私たちは「誰とどんな場面で」挨拶を交わすのでしょうか。これについて次回ディスカッションをしてみたいと思います。

考えること 

1.そもそも挨拶って何なんでしょうか。そして、なぜするんでしょうか?
2.誰とどんな場面で「挨拶」をしますか?
(家族と朝起きたとき?友達と久しぶりに会ったとき?

考えるためのティップス 

挨拶は、日本の広辞苑で調べると「人に会ったり別れたりするとき、儀礼的に取り交わす言葉や動作」と定義されてたりします。そもそも「挨拶」と言うのは禅宗に関係する言葉らしいです。「やくざや不良仲間で、仕返しをいう語」(goo辞書)という意味もありますが、今回はこの「きっちり挨拶させてもらうからな!」みたいなことは考えなくていいです。 韓国では挨拶を漢語を使って、「人事(인사)」と表します。人事異動の時も同じ漢字を使います。韓国の広辞苑のような存在の「標準国語大辞典」にも、
「마주 대하거나 헤어질 때에 예를 표함. 또는 그런 말이나 행동.」
(会ったり別れるときに、例を表すこと。またはそのような言葉や行動)
という定義が出てきます。ちなみに、韓国手話では「目礼」を形として表す次のような動作が、「挨拶」です。
日韓の挨拶の違いには、例えば、「小学校の給食の時間に食前食後の挨拶をするか?」があります。洪珉杓(2007)「日韓の言語文化の理解」によると給食の前「日本人96.0%」に対して、「韓国人30.2%」、給食の後「日本人95.2%」に対して「韓国人24.3%」とあります。その理由を洪珉杓は、「給食の前後に韓国人小学生のあいさつの頻度が低いことは、たぶん家庭ではご飯を作ってもらったお母さんに当然感謝をすべきだという意識が強いが、学校での給食はお金を出して食べるのだから特に、「잘 먹겠습니다(いただきます)」と
「잘 먹었습니다(ごちそうさまでした)」という感謝のあいさつをする必要がないし、あいさつの対象も特にないと考えたからではないかと思われる」としています。でも、これって本当にそうなんでしょうか?私は、そう考えません。これについては次回お話しするとして、みなさんも身近に韓国人留学生がいたら「挨拶」の違いについて調査してみてはいかがでしょうか?

今日のオススメ 

洪珉杓(2007)「日韓の言語文化の理解」風間書房

日本語で読める、日韓対照言語行動比較の本です。正直調査方法に「ん?おかしくない?」と思ってしまう点もあることはあるのですが、「感謝と謝罪」「ほめ」「断り」「不満表現」「敬語意識」「あいづち」といった言語機能のいろいろな観点から違いを調査していて、日韓両言語の相違を考える切っ掛けにはなると思います(調査結果を鵜呑みにはしないでください)。韓国語はちょっと覚えるのが大変と感じている人は、こういった本から読んでみるのもいいかもです。

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