2018.12.17函館教育大学韓国語授業資料「言葉遣い」

ことば遣い色々 ~スピーチ・レベル・シフトの話~

 나는 관계의 속도에 맞춰 말을 놓지 않는다. 못하는 것이기도 하다.

私は関係の速度に合わせタメ口にしない。 できないということでもある。

괜찮다. 길게 뱉은 호흡을 머금은 민들레 씨앗이 상대의 몸에 날아가 붙고,

(しかし)大丈夫だ。長く吐いた息を宿したタンポポの種が、相手の体に飛んでいき、くっついて、

그 씨앗들이 꽃을 피우며 천천히 서로의 모양을 알아가는 것이 좋다.

その種が花を咲かせ、ゆっくりお互いの形を知るのがいい。

조급해할 필요는 없다. 가까울수록 상대에 대한 격을 지키는 것이

焦る必要はない。  近いほどに相手に対して(品)格を守ることが

더 오랜 기간 서로 아끼고 사랑하는 길일지도 모른다. 

さらに長い期間お互いを大切にし、愛する道かもしれない。

 왕고래著「소심해서 좋다」より           

 今日は冒頭で、ワンゴレの「小心者だから良い」の一節を紹介しました。韓国語では日本と同じように、目上の人に敬語を使い、目下や友達であれば、タメ口を使うというのが一般的です。ただ、親疎の関係によっては、目下であっても敬語を使うこともあるし、同級生に対してもある程度丁寧なことば遣いをすることもあります。今日引用したワンゴレ氏の場合は、近い人ほどタメ口を使わないで過ごしたほうが、ゆっくり相手との間合いを縮められて、長い間付き合っていけるという話です。

 専門用語で、「ある一人の人の言葉遣いが、丁寧な言葉遣いからため口に変化したり、ため口から丁寧なことばになったり、丁寧度が変化すること」を「スピーチ・レベル・シフト」と言います。 言葉というものは、いつ・どのような場所で・誰と・どのような内容を話すのかで丁寧さが異なるもの。韓国語を極めるとなると、そのへんの匙加減がわからないと困ることになります(自分は困ってないかもしれないけど、相手が困ります)。

 ただ、匙加減というのは、「その言語文化に潜在する暗黙の決まりごと」ですので、日本で勉強している人にとって習得は至難の技。一応今回は、同い年や目上の人に対して、タメ口でいいよと許可を出す方法を学んでおきたいと思います。ということで、再び映画「建築学概論」のワンシーンを引用したいと思います。スンミンとソヨンはお互いに同級生だということはわかっているのですが、スンミン(男)のほうは敬語を使っています。それをソヨンは、「何でタメ口で話さないの?」とタメ口で話すように促します。


과거. 빈 집. 낮.(過去.空き家.昼) (21:00)

승민:근데... 음대가 건축학개론은 왜 들어요?(ところで、音大が建築学概論はなんで聞くの?)

서연:어? 나 음댄지 어떻게 알았어?(私 音大かどうか どうして知ってるの?)

승민:(아차) 아... 재욱이형한테 들었어요. 살짝. 얼핏.(ジェウク先輩から聞いた。たまたま)

서연:음, 재욱 오빠.(ジェウク先輩)

서연:우리 이렇게 하자. 난 건축과도 아니고, 이 동네도 잘 모르거든.

   (私たちこうしよう。私は建築科でもなく、この町も良く知らない)

근데 넌 건축과고, 여기서 오래 살았고... 그러니까...

(だけどあなたは建築科で、ここで長く住んでて、だから。。)

우리 숙제를 같이 하는 거 어때? 그럼 공평하지?

(私たち 宿題を一緒にするのはどう?それだったら公平でしょ?)

승민:그게... 뭐가 공평하다는 건지.

   (それが..何が公平だって言うのか)

서연:근데 너 왜 말 안 놔?            우리 같은 1학년인데.

   (ところで、あなたなんでタメ口にしないの? 私たち同じ1年なのに)

승민:그.. 먼저 놓으세요. (先にタメ口にしてくださいよ)

서연:나 아까부터 놓았잖아. 말 놓은 거 안보여?

(私さっきからタメ口じゃない。タメグチにしたの 気づかない?)

너두 말 놓아.(あなたもタメ口にしてよ)

승민:... 예. 알았어요.(はい、わかりました)

서연:놓으라니깐.(タメ口にしてってば)

ちょと複雑にはなるのですが、韓国語の丁寧さをまとめておきます。今後、韓国語で会話するときや作文するときの目安にしてください。ただしここで紹介するのは、厳密な分類ではないので、あくまで参考です。特に、書き言葉、話し言葉で分類してありますが、「書き言葉で話す」、「話し言葉で書く」ということもあります。その使い分けをするためには、それなりの練習が必要になってきます。宿題で私に対する作文は主に2番でいいと思います。ただし、1番で書いてあると、「高校生じゃなくて大学生だなあ」と感じる場合もあります。

より詳しく学びたいという人は、下の表も参考にしてください。韓国語の語尾は、6段階の丁寧度に分けることができ、さらに、平叙、疑問、命令、勧誘を整理すると次のようになります。

 冬休みに読みたい本「82年生まれ、キム・ジヨン」著者조남주 翻訳斎藤真理子

 主人公であるキム・ジヨンは一児の母で、IT関連の中堅企業に勤める夫と3人でソウルのはずれにあるマンションに住んでいる。ある日を境に、彼女は突然自分の母親や友人の人格が憑依したように振る舞い始める。いったい何が彼女の精神に歪みをもたらしたのか。本書はキム・ジヨンの生まれた1982年からその半生を振り返りながら、彼女が幼少期から大人になるまでに経験してきた様々な理不尽や不平等、女性であるがゆえの困難を克明に描き出す。 https://www.cinra.net/column/201812-82nenkimjiyoungより


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