自粛要請期間特別コラム vol.10 「ドレミ…のなぞ??」

皆さん、こんにちは!!宮地楽器高幡センター、ギター講師の武谷健です。

今回は、皆さんも馴染みのある「ドレミファソラシド」についてです。

★VOL.15「ドレミ…のなぞ」

ドレミファソラシ=イタリア語
CDEFGAB=英語
はにほへといろ=日本語

クラシックでは、イタリア語の「ドレミファソラシ」を使うのが一般的ですが、ポピュラーミュージックでは、英語の「CDEFGAB」を使うのが一般的です。日本語の「はにほへといろ」は聴き馴染みがないかもしれませんが、例えば、は長調とか、い短調とか聞いた事ありませんか?これもクラシックで良く使われる表記ですが意味は、[は長調=Cメジャー]、[い短調=Aマイナー]となります。

私は昔から疑問でした。なぜ、ドレミファソラシ=CDEFGABなのかと。なぜ、ド=Aでなくド=Cなのかと。なぜ、アルファベットの最初の文字はAなのにCから始まっているのかと…

今日は、そんな謎深き「ドレミファソラシド」という音名ついて考えていきたいと思います。


●「ドレミファソラシ」誕生秘話

「ABCDEFG」はアルファベットの並べ方、「いろはにほへと」はかな文字の並べ方で、並び順は決まっていますよね。ちなみに、イタリア語でもアルファベットを使い、日本語で言う「あいうえお…」の50音順に相当するものは、英語と同じでアルファベット順です。では、「ドレミファソラシ」とは一体どこから生まれたのでしょうか?

ドレミの発案者は、11世紀のイタリアで活躍した修道士、グイード・ダレッツォとされています。グイード・ダレッツォは聖歌隊を指導していたそうですが、その当時は記譜法が確立されておらず、全員が耳コピで曲を覚えていました。(かなり大変だったと容易に想像ができますね…)そこで、グイード・ダレッツォは特定の音に名前をつけるという画期的なアイデアを思いつきました。

聖ヨハネ賛歌という曲があるのですが、その曲は第1節~第6節までの各メロディーの出だしの音が、規則正しく上昇するメロディーでした。グイード・ダレッツォはこの曲を使って、ドレミ…の原型を作りました。

↓聖ヨハネ賛歌

Ut queant laxis
Resonare fibris
Mira gestorum
Famuli tuorum
Solve polluti
Labii reatum
Sancte Johannes

それぞれの歌詞の頭文字と、出だしの音を結びつけて、ウト・レ・ミ・ファ・ソ・ラと呼ぶ事にしたのです。ウトは発音しづらいということで、後々”ド”となりました。(最初はこの6音のみだったらしいです。”シ”は17世紀頃に足されたとされています。)こうして「ドレミファソラシ」は作られました。

●ドレミ…がCDE…になったわけ

アルファベット順は”A”が始点となっています。いろは順では、”い”が始点ですね。しかし、「ドレミファソラシ」は純粋に音の名前であり、音の高さ順で並んではいるが明確な始点はないというのがポイントです。

では、なぜ今現在「ドレミファソラシ」と”ド”から始まる呼び方が定着しているかというと、現代の音楽では他の音よりも”ド”が圧倒的に重視されていると言えるからです。要するに、現代に生きる私達にとっては、ドレミ…は”ド”が始点であるというふうに感じてしまいますが、実は便宜的に「ドレミファソラシ」の順で呼んでいるだけなのです。

また、「ドレミファソラシ」のどの音を重視するかは、時代によって異なりました。例えば8世紀の旋法で第一のものは現在のドリア旋法(”レ”が中心)だったそうです。その当時は「レミファソラシド」の並びだったのかもしれません。

音名にアルファベットを当てはめようと考えたら、普通は始点となっているAから順に当てはめていくはずですね。なので、現代の感覚だとド=Aにするのが普通と考えがちですが、音名にアルファベットを当てはめようと考えた時代、ちょうどその時代には”ラ”が重視されていた(エオリア旋法が第一の旋法だった)としたらどうでしょう?普通に考えて、ラ=Aとしたとしても不思議ではないですよね。その当時は「ラシドレミファソ」と言っていたかもしれないのですから。

要するに、その当時、音階の始まりのとして専ら使っていた音は「ド」ではなく 「ラ」だった(可能性が高い)ので、ラ=Aとしたらしいのです。

その後長い音楽の歴史の中で、現在のように”ド”を中心とするようになり、「ドレミファソラシ」と呼ばれるようになりました。それに合わせてアルファベット表記も順番を替えることになり、CDEFGABという、わかりにくい順番になったのです!!

この問題に関していろいろと調べましたが。本当にいろんな説があるようです。はっきりとしたことはわかっていないようなのですが、逆に好奇心をくすぐられもっと深く調べてみたくなりました。昔の時代の人々は音楽をどう捉えていたのだろうかと、あれこれ考えてみたくなりますね!

宮地楽器高幡センター ギター講師 武谷健

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