1人推理遊び ~小さなまちに馴染む小さな違和感~
近所を歩いていると、どうでもいいことだけれど気になることがたまにある。なぜこんなところにこんなモノがあるのだろう? この家にはどんな人が住んでいるのだろう? そんな疑問が沸くと、1人推理タイムの始まりはじまり。当事者に取材すればすぐに明らかになるだろうが、「某探偵○○スクープ」でもあるまいし、そこまでするはずもない。専門知識もないし、一般常識にもかけているので、トンチンカンかもしれないが、それを承知の上で自分なりの答えを導き出すのが楽しい。
ある日、いつも歩いている道でふと気になったことがあった。交通量の多い幹線道路と並行したその通りは、時間帯によっては通行量が多いものの、信号はほとんどない。個人商店や小さい会社も点在するが、マンションや一軒家が多い。歩道も広めで緑も多くベンチも設置されている。登下校時間帯は幼児から高校生まで通学に利用している。
そんな通りに小さなコインパーキングがあった。停められるのはたったの2台。自家用車っぽいのと、工具とかが載せられていそうな仕事用っぽいワゴンが各1台。休日の朝から住宅街で仕事をしているのも違和感があるし、なんとなく近所の住民とか会社の車のように思えた。
それなりに広い敷地ならまだしも、なぜコインパーキングなんだろう?と不思議に思った。2台しか停められないし、周辺の環境を見る限り、わざわざヨソから来てここに留める人がいるとは思えない。どう考えても地元の人しか利用しないであろう場所だった。強いて言えば休みの日にホームパーティーとか親戚が訪れるのはあり得るかな、くらいのもの。その並びには一軒家とマンション、パン屋などがあるから、以前はそのどれかがあったのだろう。
広めの道路に面している小さな土地で、詳しくは知らないけれど建ぺい率などを考えるとめちゃくちゃ小さい家しか建てられなさそうなので、売るには難しい土地だっただろう。しかし駐車場にするなら、近隣住民に月極で貸し出せばよかったのでは。住宅街だから、すぐに貸し手は見つかりそうなものだ。
ただ、地主が引っ越して地元と縁が薄くなったら、コインパーキングにする方が楽かもしれない。月極ですぐに誰かが契約してくれればいいけれど、そうでない可能性もある。使ってくれる人がいなければ、定期収入がなくなる。所有者が以前の家主でなく、不動産屋が買い取ったかもしれない。それならば、この小さな土地の活用方法としては最も有意義だったかもしれない。
あまりおもしろい答えにはならなかったが、なんだか今ドキらしい景色なのかなと少し寂しくなった。私が子供の頃、その周辺はいかにも下町らしい場所だったからだ。昔の雰囲気とか分からないけれど、横の繋がりがもう少し濃かった時代なら、こんな景色はなかったんじゃないか、と。
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