マガジンのカバー画像

アメリカを学ぶ

59
アメリカ関連の記事をまとめているマガジンです。
運営しているクリエイター

#冷戦

論文紹介 1970年代に米国で生み出された軍備競争の戦略思想

戦略研究者アンドリュー・マーシャルは、ランド研究所で勤務していた1972年にアメリカがソ連に…

メモ 軍種間の予算獲得競争で促進された米海軍の潜水艦発射弾道ミサイル開発

軍隊の中で最大の組織区分として陸海空軍といった軍種がありますが、この軍種間で起こる政策競…

宇宙領域の冷戦史『世界史を動かすスパイ衛星』(1990)の紹介

1992年9月、アメリカ国防総省は初めて国家偵察局(National Reconnaissance Office)の存在を…

軍事と外交を統合する戦略を探求したジョージの強制外交理論 The Limits of Coercive …

強制外交(coercive diplomacy)は、すでに何らかの望ましくない行動を開始している相手に対し…

宇宙開発の政治史を記述した先駆的研究The Heavens and the Earth(1985)の紹介

1957年にソ連が打ち上げた人工衛星スプートニク1号はその後の国際政治の展開に大きな影響を及…

冷戦期の米軍の変化を社会学的に捉えたThe Professional Soldiers(1960)の紹介

モーリス・ジャノヴィッツは軍事社会学の分野で業績を残している研究者であり、その主著として…

冷戦期の米国はどのように対外援助を利用していたか?Foreign Aid as Foreign Policy(2007)の紹介

国際政治では、対外政策の手段として軍事力だけでなく、経済力が使用されてきました。貿易や投資を通じて経済的相互依存を深めるという方法もありますが、対外開発援助のような方法もあります。冷戦期のアメリカはこの方面で多くの事例を残しており、その効果について研究者が調査を進めています。 歴史的に注目すべき事例の一つとして、ジョン・F・ケネディ大統領(在任1961~1963)のラテンアメリカに対する援助があります。ケネディ大統領は個別に行われていた開発援助を一元的に管理する体制を構築し

論文紹介 ジョンソン政権のベトナム政策と国内におけるエリートの統制

国際関係論の理論では、その国の政治体制のタイプが対外政策の選択に重要な影響を及ぼすと考え…

大国の情報活動が成功するとは限らない:Why Intelligence Fails(2010)

大国は世界で何が起きているのか、何が起きそうなのかを知るため、多くの予算を情報活動に割り…

論文紹介 朝鮮戦争とベトナム戦争で米軍が消耗戦を選んだ理由は何か?

消耗戦(attrition warfare)が望ましくないもの、非合理なものと見なされることが多い主な理…

論文紹介 1980年代の中東情勢と米軍の対ソ戦略に対するウォルツの考察

1979年9月1日、アメリカ上院外交委員会では中東地域に配備する新しい部隊として即応展開部隊(…

論文紹介 情報活動においてヒューミントが劣化することの危険性

情報活動では情報源の性質に応じて獲得した情報を区分することが一般的です。通信を傍受して得…

論文紹介 米海軍の軍人は80年代にソ連潜水艦にどう対処しようと考えていたのか?

現代の軍事情勢を考える上で核兵器が戦略的な意義を持っていますが、それを運搬する手段として…

ベトナム戦争の後で米陸軍の訓練と人事はどのように立て直されてきたのか?

ベトナム戦争に深く関与したことは、アメリカ陸軍にとって大きな損失をもたらしました。多数の犠牲を出しただけでなく、士気の低下、規律の軟化、団結の弱化が発生し、その戦闘効率が低下したのです。 戦争の長期化によって国民から理解を得ることは難しくなっていき、徴兵制が廃止され、志願制に切り替わりました。それまでアメリカ陸軍を支えていた広範な人事的基盤が失われたため、新規採用の基準を引き下げたにもかかわらず、多数の部隊では欠員が慢性化しました。その間にも軍事技術は進歩していったため、ア

有料
100