マガジンのカバー画像

アメリカを学ぶ

59
アメリカ関連の記事をまとめているマガジンです。
運営しているクリエイター

記事一覧

なぜ大国の脅しが失敗するのか?: Coercion, Survival, and War(2015)の紹介

国力に優れた大国は、自国の要求を他国に押し付けやすくなるというイメージがありますが、実際…

100

論文紹介 国際法は武力行使の支持態度にどれほど影響を及ぼすのか?

国家が武力行使を選択したとき、人々がそれを支持しているかどうかは、再選を目指す指導者にと…

論文紹介 1970年代に米国で生み出された軍備競争の戦略思想

戦略研究者アンドリュー・マーシャルは、ランド研究所で勤務していた1972年にアメリカがソ連に…

メモ 軍種間の予算獲得競争で促進された米海軍の潜水艦発射弾道ミサイル開発

軍隊の中で最大の組織区分として陸海空軍といった軍種がありますが、この軍種間で起こる政策競…

宇宙領域の冷戦史『世界史を動かすスパイ衛星』(1990)の紹介

1992年9月、アメリカ国防総省は初めて国家偵察局(National Reconnaissance Office)の存在を…

軍事と外交を統合する戦略を探求したジョージの強制外交理論 The Limits of Coercive …

強制外交(coercive diplomacy)は、すでに何らかの望ましくない行動を開始している相手に対し…

宇宙開発の政治史を記述した先駆的研究The Heavens and the Earth(1985)の紹介

1957年にソ連が打ち上げた人工衛星スプートニク1号はその後の国際政治の展開に大きな影響を及ぼす出来事でした。アメリカ国内ではソ連に宇宙開発で追い抜かれたという危機感が高まり、宇宙関連技術に関する研究と教育への関心が高まるきっかけとなりました。当時の大統領だったアイゼンハワー(Dwight David Eisenhower)も、この世論の高まりを受け、宇宙開発を推進しますが、同時に宇宙開発の軍事利用に歯止めをかける必要があると考え、軍隊とは別の連邦政府の機関として1958年の

冷戦期の米軍の変化を社会学的に捉えたThe Professional Soldiers(1960)の紹介

モーリス・ジャノヴィッツは軍事社会学の分野で業績を残している研究者であり、その主著として…

メモ YouTubeの政治的コンテンツを研究者はどう分析しているか?

2005年にチャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリムの3人によって設立されたYou…

論文紹介 米国の若者はどんな動機で軍隊に入隊しているのか?

アメリカでは1973年に徴兵を停止し、志願制に移行してから、軍隊に志願する若者の特徴に関する…

冷戦期の米国はどのように対外援助を利用していたか?Foreign Aid as Foreign Policy(…

国際政治では、対外政策の手段として軍事力だけでなく、経済力が使用されてきました。貿易や投…

論文紹介 ジョンソン政権のベトナム政策と国内におけるエリートの統制

国際関係論の理論では、その国の政治体制のタイプが対外政策の選択に重要な影響を及ぼすと考え…

メモ 士官学校で教えるべきは何か?

19世紀以降、欧米の軍隊では士官を養成する専門軍事教育制度を整備し、部隊の指揮官や幕僚の供…

大国の情報活動が成功するとは限らない:Why Intelligence Fails(2010)

大国は世界で何が起きているのか、何が起きそうなのかを知るため、多くの予算を情報活動に割り当てています。しかし、その費用に見合った情報が得られるとは限りません。アメリカの政治学者ロバート・ジャーヴィスは、国際政治学で指導者の状況認識が対外政策に与える影響を考察してきた研究者であり、アメリカの情報活動の失敗事例を取り上げて、その原因を考察しています。 Jervis, Robert. (2010). Why Intelligence Fails: Lessons from the