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アメリカを学ぶ

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アメリカ関連の記事をまとめているマガジンです。
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記事一覧

論文紹介 国際法は武力行使の支持態度にどれほど影響を及ぼすのか?

国家が武力行使を選択したとき、人々がそれを支持しているかどうかは、再選を目指す指導者にと…

論文紹介 1970年代に米国で生み出された軍備競争の戦略思想

戦略研究者アンドリュー・マーシャルは、ランド研究所で勤務していた1972年にアメリカがソ連に…

メモ 軍種間の予算獲得競争で促進された米海軍の潜水艦発射弾道ミサイル開発

軍隊の中で最大の組織区分として陸海空軍といった軍種がありますが、この軍種間で起こる政策競…

宇宙領域の冷戦史『世界史を動かすスパイ衛星』(1990)の紹介

1992年9月、アメリカ国防総省は初めて国家偵察局(National Reconnaissance Office)の存在を…

軍事と外交を統合する戦略を探求したジョージの強制外交理論 The Limits of Coercive …

強制外交(coercive diplomacy)は、すでに何らかの望ましくない行動を開始している相手に対し…

宇宙開発の政治史を記述した先駆的研究The Heavens and the Earth(1985)の紹介

1957年にソ連が打ち上げた人工衛星スプートニク1号はその後の国際政治の展開に大きな影響を及…

冷戦期の米軍の変化を社会学的に捉えたThe Professional Soldiers(1960)の紹介

モーリス・ジャノヴィッツは軍事社会学の分野で業績を残している研究者であり、その主著として『職業軍人(The professional soldier)』(1960:新版1971)があります。この著作は、第二次世界大戦の終結から冷戦の初期にかけて軍隊の組織を取り巻く環境だけでなく、その内部の規範や制度にも変化が生じていることを実証的に明らかにしたものであり、19世紀から20世紀の前半に見られた軍隊のあり方が不変のものではないと主張しています。 その見解によれば、軍隊は階層化さ

メモ YouTubeの政治的コンテンツを研究者はどう分析しているか?

2005年にチャド・ハーリー、スティーブ・チェン、ジョード・カリムの3人によって設立されたYou…

論文紹介 米国の若者はどんな動機で軍隊に入隊しているのか?

アメリカでは1973年に徴兵を停止し、志願制に移行してから、軍隊に志願する若者の特徴に関する…

冷戦期の米国はどのように対外援助を利用していたか?Foreign Aid as Foreign Policy(…

国際政治では、対外政策の手段として軍事力だけでなく、経済力が使用されてきました。貿易や投…

論文紹介 ジョンソン政権のベトナム政策と国内におけるエリートの統制

国際関係論の理論では、その国の政治体制のタイプが対外政策の選択に重要な影響を及ぼすと考え…

メモ 士官学校で教えるべきは何か?

19世紀以降、欧米の軍隊では士官を養成する専門軍事教育制度を整備し、部隊の指揮官や幕僚の供…

大国の情報活動が成功するとは限らない:Why Intelligence Fails(2010)

大国は世界で何が起きているのか、何が起きそうなのかを知るため、多くの予算を情報活動に割り…

論文紹介 軍隊は次世代のリーダーに学ぶ時間を保証しなければならない

アメリカ陸軍の元軍人ロバート・スケール(Robert H. Sclae)は、アメリカ軍の将来に対して深い懸念を示す論説「学ぶには忙しすぎる(Too Busy to Learn)」(2010)を発表し、アメリカ軍の人事制度の問題を指摘したことがあります。 その問題とは士官の教育ですが、より根本的な問題は学習に割り当てることができる時間の乏しさです。2001年にアメリカはテロとの戦いを本格化させ、多数の兵士がアフガニスタンやイラクなどに派遣されましたが、派遣が長期化するにつれて