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アメリカを学ぶ

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アメリカ関連の記事をまとめているマガジンです。
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#外交

なぜ大国の脅しが失敗するのか?: Coercion, Survival, and War(2015)の紹介

国力に優れた大国は、自国の要求を他国に押し付けやすくなるというイメージがありますが、実際…

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軍事と外交を統合する戦略を探求したジョージの強制外交理論 The Limits of Coercive …

強制外交(coercive diplomacy)は、すでに何らかの望ましくない行動を開始している相手に対し…

冷戦期の米国はどのように対外援助を利用していたか?Foreign Aid as Foreign Policy(…

国際政治では、対外政策の手段として軍事力だけでなく、経済力が使用されてきました。貿易や投…

論文紹介 国際法で戦争が違法化されたことで、国際政治にどのような影響があったか?

現代の国際法の枠組みは、第一次世界大戦が終結した時点で有効だった枠組みと比較すると、まっ…

論文紹介 冷戦期の米国でCIAの情報活動の質の悪さを指摘した研究者の批判

ロバート・ジャーヴィスは、国際政治を理解するためには、人間の認知が対外政策の形成に与える…

なぜ抑止戦略の研究で評判が問題になるのか?

現代の軍隊が達成すべき任務の一つは、自国に脅威を及ぼす恐れがある他国に武力の行使を思いと…

信頼の喪失が国際政治に及ぼす影響を説明したTrust and Mistrust in International Relations(2007)の紹介

政治学の研究で最も基本的な分析対象に交渉があります。交渉を分析する場合、研究者は何が争点になっているのか、その争点に利害がある行為主体の立場がどのように異なっているのかを調べます。また、その交渉の結果は、それぞれの行為主体が自らの立場を守り、あるいは相手に自らの立場を強要することを可能にする権力によって左右されると考えられます。そのため、権力関係の調査も重要な課題です。しかし、国際政治では権力関係がすべてではありません。 国際政治の領域では、国家間が何らかの合意形成が見込め

現代世界を形作った歴史を振り返る『冷戦史』の紹介

アメリカとソ連の冷戦は1991年にソ連の崩壊という形で終わりを迎えました。しかし、冷戦の影響…

論文紹介 NATOの領域を東欧へ拡大しないという「誓約」は存在したのか?

1990年にアメリカとソ連は東西ドイツを再統一させる交渉の中で、ある「誓約」を交わしていたと…

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核の使用を自制させる規範の形成を分析したNuclear Taboo(2007)の紹介

国際政治で核兵器の運用方針を説明する理論を構築するため、研究者は合理的選択アプローチを採…

論文紹介 米中対立が必ず武力紛争を引き起こすとは限らない

アメリカの政治学者シュウェラーは、リアリズムの理論に国内政治の影響を取り入れる新古典的リ…

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論文紹介 米国は中国といかに向き合うべきなのか?

プリンストン大学のアーロン・フリードバーグ教授はアメリカの政策、戦略を専門とする研究者で…

論文紹介 脅威に直面しても米国が政治的に団結できるとは限らない

現在、アメリカ政治の研究では分極化(polarization)という現象が注目されています。分極化と…

近い将来に米国と中国は戦うしか道はないのか? 『米中戦争前夜』の書評

中国の台頭が世界の情勢にどう影響するのかをめぐって、研究者はおよそ20年にわたる議論を続けてきました。特に中国が力をつけてから、アメリカに敵対してくるのか、それとも友好関係を望むのかをという争点に関してはさまざまな議論がありましたが、最近になって中国がアメリカに敵対する可能性が高いという見方が強まっています。 アメリカの政治学者グレアム・アリソンの著作『米中戦争前夜(Destinied for War: Can America and China Escape Thucyd