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アメリカを学ぶ

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アメリカ関連の記事をまとめているマガジンです。
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#歴史

なぜ大国の脅しが失敗するのか?: Coercion, Survival, and War(2015)の紹介

国力に優れた大国は、自国の要求を他国に押し付けやすくなるというイメージがありますが、実際…

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メモ 軍種間の予算獲得競争で促進された米海軍の潜水艦発射弾道ミサイル開発

軍隊の中で最大の組織区分として陸海空軍といった軍種がありますが、この軍種間で起こる政策競…

宇宙領域の冷戦史『世界史を動かすスパイ衛星』(1990)の紹介

1992年9月、アメリカ国防総省は初めて国家偵察局(National Reconnaissance Office)の存在を…

軍事と外交を統合する戦略を探求したジョージの強制外交理論 The Limits of Coercive …

強制外交(coercive diplomacy)は、すでに何らかの望ましくない行動を開始している相手に対し…

宇宙開発の政治史を記述した先駆的研究The Heavens and the Earth(1985)の紹介

1957年にソ連が打ち上げた人工衛星スプートニク1号はその後の国際政治の展開に大きな影響を及…

冷戦期の米国はどのように対外援助を利用していたか?Foreign Aid as Foreign Policy(…

国際政治では、対外政策の手段として軍事力だけでなく、経済力が使用されてきました。貿易や投…

論文紹介 ジョンソン政権のベトナム政策と国内におけるエリートの統制

国際関係論の理論では、その国の政治体制のタイプが対外政策の選択に重要な影響を及ぼすと考えられています。つまり、政治体制のタイプが民主主義に近づくほど、指導者は選挙を通じて説明責任を問われやすくなるため、武力行使に慎重な態度をとりやすくなると考えられます。ところが、政治行動論の研究では、そもそも有権者が対外政策について知識を持っているわけではないことが指摘されています。これは政治的に大きな意味を持ちます。 というのは、ほとんどの有権者は政治知識を補うために、エリートの見解を手

大国の情報活動が成功するとは限らない:Why Intelligence Fails(2010)

大国は世界で何が起きているのか、何が起きそうなのかを知るため、多くの予算を情報活動に割り…

論文紹介 朝鮮戦争とベトナム戦争で米軍が消耗戦を選んだ理由は何か?

消耗戦(attrition warfare)が望ましくないもの、非合理なものと見なされることが多い主な理…

軍事上の必要性と社会の価値観をいかに調和させるか?『市民と軍人』(1985)の紹介

現代の国際社会でアメリカが指導的地位を維持できている要因の一つは、その軍事的能力の優越に…

論文紹介 国際法で戦争が違法化されたことで、国際政治にどのような影響があったか?

現代の国際法の枠組みは、第一次世界大戦が終結した時点で有効だった枠組みと比較すると、まっ…

論文紹介 1980年代の中東情勢と米軍の対ソ戦略に対するウォルツの考察

1979年9月1日、アメリカ上院外交委員会では中東地域に配備する新しい部隊として即応展開部隊(…

ベトナム戦争の後で米陸軍の訓練と人事はどのように立て直されてきたのか?

ベトナム戦争に深く関与したことは、アメリカ陸軍にとって大きな損失をもたらしました。多数の…

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信頼の喪失が国際政治に及ぼす影響を説明したTrust and Mistrust in International Relations(2007)の紹介

政治学の研究で最も基本的な分析対象に交渉があります。交渉を分析する場合、研究者は何が争点になっているのか、その争点に利害がある行為主体の立場がどのように異なっているのかを調べます。また、その交渉の結果は、それぞれの行為主体が自らの立場を守り、あるいは相手に自らの立場を強要することを可能にする権力によって左右されると考えられます。そのため、権力関係の調査も重要な課題です。しかし、国際政治では権力関係がすべてではありません。 国際政治の領域では、国家間が何らかの合意形成が見込め