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国際政治を学ぶ

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国際政治に関する記事をこのマガジンにまとめておきます。
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記事一覧

なぜ戦間期の英国はドイツとの対立を避け、宥和に動いたのか? The Ultimate Enemy(19…

1933年にアドルフ・ヒトラーが新政権を発足させてから、ドイツは将来の戦争を見据え、軍備を積…

論文紹介 なぜソ連は1979年にアフガニスタンに侵攻したのか?

1979年12月、ソ連は国境に集結させた部隊をアフガニスタンの領域に侵攻させ、アメリカを含めた…

論文紹介 イラクが核開発を進めようとした狙いは何だったのか?

1979年3月27日、イラクの副大統領でありながら、すでに事実上の最高指導者として権力を掌握し…

軍事と外交を統合する戦略を探求したジョージの強制外交理論 The Limits of Coercive …

強制外交(coercive diplomacy)は、すでに何らかの望ましくない行動を開始している相手に対し…

論文紹介 地理的要因が勢力均衡に及ぼす影響はどのようなものか?

国際政治の研究では、各国の能力の優劣を判断し、それに基づいて行動を説明する勢力均衡理論(…

宇宙開発の政治史を記述した先駆的研究The Heavens and the Earth(1985)の紹介

1957年にソ連が打ち上げた人工衛星スプートニク1号はその後の国際政治の展開に大きな影響を及…

大英帝国の覇権を可能にした電信の歴史を語る『ヴィクトリア朝時代のインターネット』(1998)の紹介

科学技術ジャーナリストのトム・スタンデージ(Tom Standage)は、19世紀にモールス符合を用いて電信システムが世界中に広まり、遠隔地と電気信号で通信する時代を描いた『ヴィクトリア朝時代のインターネット』(1998)の著者です。この著作は、研究者向けの歴史学的な作品ではなく、一般の読者を対象としたものですが、その解釈は19世紀と20世紀の戦争の歴史を理解する上で興味深い示唆を提供しています。 Standage, T. (1998). The Victorian Int

メモ なぜ中国はベトナム戦争に介入したのか?

1965年、中国は北ベトナムに戦闘支援部隊を派遣することを決定しました。当時、北ベトナムはソ…

論文紹介 冷戦時代の欧州で軍事バランスはどのように分析されていたのか

冷戦の主要戦域と見なされていたヨーロッパでは、アメリカを中心とする北大西洋条約機構(NATO…

論文紹介 なぜ英国は1982年のフォークランド侵攻を予見できなかったのか?

1982年4月1日、イギリスが統治する大西洋の離島フォークランド諸島にアルゼンチン軍の部隊が上…

冷戦期の米国はどのように対外援助を利用していたか?Foreign Aid as Foreign Policy(…

国際政治では、対外政策の手段として軍事力だけでなく、経済力が使用されてきました。貿易や投…

論文紹介 戦略の一つとして安心供与(assurance)を考える

安心供与(assurance)という戦略用語は、抑止(deterrence)に比べると知られていないかもし…

論文紹介 戦争のエスカレーションから抜け出せない指導者の心理を読み解く

研究者は戦争に関する意思決定過程を考えるとき、その戦争を即座に中断したとしても取り戻せな…

論文紹介 政治エリートが決断を下すとき、その思考はどうなっているのか?

最近の政治学で進展が見られた分野の一つとして、エリートを対象とした政治心理学的研究が挙げられます。政治家、行政官、軍人などのエリートは非エリートとは異なる固有の考え方を持つことが多いことが示唆されており、その違いが政策選択に影響を及ぼしている可能性が検討されています。 政治学者のアレクサンダー・ジョージは、研究史の早い時期にエリートの思考過程に注意を払っていた先駆者の一人であり、1969年の「オペレーショナル・コード(The ‘Operational Code’)」は有名な