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しなやかな解決力の意味

今回は、アルシエンのキャッチフレーズの一つ「しなやかな解決力」について、事務所内研修で話していることを書き起こしてみます。

例によって、事務所の代表の一人として外部に情報発信するという立場でとてもキレイな話をしていますし、事務所として目指しているものであり私が充分に実践できていないではないか批判があることはさておきでお話しさせていただきます。

3つのキャッチフレーズ

2017年にホームページを改訂するにあたり、アルシエンの理念を3つのキーワードに集約しようという考え、所内で募集しました。

その結果、選ばれたのが
・しなやかな解決力
・先進的事案への挑戦
・縁をつなぎ円をえがく
の3つです。

どれも素晴らしいキャッチフレーズだなと思います。

事務所のメインイメージの書にもこの3つのキャッチフレーズを書いてもらいました。

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その中でも一番に掲げているのが

「しなやかな解決力」

というキャッチフレーズです。

確か日高先生が考えてくれました。
アルシエンが目指しているものを端的に現わしたとてもよいフレーズだと思います。

依頼者は法律問題を解決したいわけではない

アルシエンでは、アルシエンに所属している弁護士が提供している価値は「困りごとや不安の解決」であると考えています。

アルシエンに相談に来る方は、困っている出来事に直面しており、その困っている出来事を終わらせるために弁護士に相談しに来ています。

勘違いしてはいけないのは、相談者の方は決して法律問題があるから相談に来ているわけではないということです。

困っている出来事があり、その原因がたまたま法律問題であって、そのための解決手段の一つの選択肢として法的手段があるだけだと捉えています。

困っている出来事の原因が法律問題ではないこともありますし、法律問題が原因であっても、法的手段によらない解決の方が適していることだってあるのです。

法的手段以外の方法であっても、その困っている出来事さえ解決できるのであれば、相談者としてはそれでよいのです。

そう考えると、

・依頼者から相談された困っている出来事の原因が法的問題かどうかを分析する。

・原因が法的問題であった場合に、困っている出来事の解決策を、法的手段も含めつつもそれに限ることなく、何か良い方法はないか検討し解決に導く

ということがアルシエンが提供する価値として目指すものなのではないかと思います。

ネット上の投稿を消したいという例

例として清水先生が取り扱っているネット上の誹謗中傷で見てみます。

相談者からネットに誹謗中傷を書かれたので消したいという相談があったとします。

投稿が名誉毀損などに当たり消せるかどうかという判断は法的判断です。
そして、投稿を削除するために交渉をしたり、訴訟や仮処分を行うと言うことは法的手段です。

しかし、その投稿を消せるかどうかの回答やそのための法的手段を採るだけででは相談者の困りごとは解決しない可能性もありますし、法的手段を取らずに解決することだってあります。

相談者は何に困っているのか


というのも「誹謗中傷のネット投稿を消したい」というのは困り事そのものではありません。
ネット投稿を消したいというのは、本人が現時点で希望する解決のための方法に過ぎません。

ネット投稿を消したいと思うからには、そう思う動機があります。
その投稿により何か具体的な影響が出ているから消したいと思うのであり、それが真の困りごとなのです。

例えば、転職サイトにあることないこと書かれてしまい、そのため採用活動に支障が出ているという困りごとかもしれません。

また、販売サイトの口コミに虚偽の事実が書かれてしまい、そのせいで通販サイトの売上が落ちているということが困りごとかもしれません。

もちろん、ネットに誹謗中傷が投稿されたせいで気分が悪いというものだって困りごとです。

自分はそのような投稿は気にしていないが、家族が気にしているのでどうにかしたいという困りごとのことだってあります。

このように「ネット投稿を消したい」という相談であっても、その投稿によって具体的にどのように困っているかは事案により異なるのです。

困りごとを解決するためにはどの手段が適切か

具体的に困っていることが異なるのであれば、解決のためのアプローチもそれぞれの事案によって異なってきます。

困りごとを解決するためには、削除できるかどうか削除するかどうかだけではなく、その困り事を解決するのに削除が適切かという点まで踏み込んで提案をする必要があります。

例えばですが、サイトによっては法的には削除できても従わなかったり、削除のための経過を公表してくるようなサイトもあります。そのような場合、その投稿は消せたとしても消すためのプロセスにおいて余計に情報が拡散してしまうという可能性もあります。

また、消せたとしても消そうとしたということ事態が世間的にネガティブに捉えられてしまうケースもあります。
案件によっては、投稿を削除するよりも、プレスリリースや口コミサイトへの返信投稿をするなどして閲覧者、消費者に対する誤解を解いた方が問題の解決に資する場合もあります。

そうなると、投稿を消したいという相談を受けた場合、真の困りごとが何かを把握した上で、その解決の方法として

① 法的に消せるし消した方が良い

② 法的に消せるが消さないで他の手段の方が良い

③ 法的に消せないが消すためのアクションをとっていることを世間に示した方がよい

④ 法的に消せないので削除以外の方法を取った方がよい

の中から、相談者の困り事の解決に一番近づける方法を考えてご提案することになります。

必要なのは専門知識、周辺知識

これらの選択肢を適切に提供するには、削除できるかどうか、削除する場合どのような手段があるかという知識だけでは足りません。

サイトごとに消すためのハードルの高低や削除申請をした場合のサイト管理者のリアクションなどについても知っていた方がよいでしょう。

また、訴訟や仮処分などの法的手段以外で削除する方法の有無やそれを採った際の対応も知っておかないといけません。

削除のためのアクションを取ったことを世間が知った場合の反応の予測、炎上している場合の対応方法、メディアリレーション、逆SEOなど他の代替的な手段の有無などの知識がないと対応ができません。

清水先生は、2ちゃんねるがシンガポールに移った後初めて削除に成功した弁護士ですし、インスタグラム、フェイスブック、ツイッターについても日本で初めて匿名投稿を特定した弁護士です。
このように法的手段においてもピカイチの経歴です。

ただ、そればかりではありません。
清水先生は、アルシエン開設前はメディアリレーションのコンサルタントをしており、プレスリリースなどの広報に関する知識を有しています。
また、炎上対応の法律実務を出版するなど削除以外の知見もあります。

そして、清水先生にはお付き合いしているIT関連企業が複数あり、メディアリレーションなど広報支援をする会社、逆SEO会社、ネット上の風評をリサーチする会社などの顧問弁護士もしており、協力して対応をすることができます。

このように法的手段の専門家であるだけでなく、専門知識、周辺知識も備えています。

それゆえ、清水先生は、ネット上の誹謗中傷対策の専門家と称されるのだと思います。

しなやかな解決力の意味

弁護士なのですから、法的な知識はあることや解決のために法的手段というの選択肢を持っていることは大前提に過ぎません。

その分野の法的知識だけではなく、これまでの経験や付随する周辺知識を駆使して、依頼者の困り事の原因や解決策を検討して、ときに法的手段以外の解決策を示すことができるということが「しなやかな解決力」の意味であり、それがアルシエンが提供しようとしている価値なのだと考えています。

必然的な専門特化

このようにアルシエンは「しなやかな解決力」を提供するということを目指している。

そして、そのためには専門知識、周辺知識、法的手段以外の解決策を提供できる他の事業者との連携が不可欠です。

それをありとあらゆる分野で行うことなど不可能なので、アルシエンが目指す価値を求めようとすると、必然的に取扱分野が狭くなってしまうのです。

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