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職務経験判事補を受け入れてみて

前回、職務経験判事補を受け入れた理由についてお話しました。
手を挙げた結果、本当に素晴らしい方に来てもらうことができました。

職務経験判事補を受け入れた事務所が情報発信をしているというのも余り目にしないので、せっかくなので受け入れた結果についてもお話ししようと思います。

仕事の進め方について

当初の3か月は修習のように、1か月ずつ交代で武内、清水、木村の全ての案件(午後6時までですが。)に同席してもらい、仕事の種類や進め方を見てもらいました。私たち3人はそれぞれ扱っている案件も違いますし、仕事の進め方も違います。まずは全件見てもらい、事務所の雰囲気に慣れると言うことがよいのではないかと思いました。

その後の1年9か月は他の勤務弁護士と同じように案件を担当してもらいました。その際、先に全件見てもらっていますので、どのような案件を担当したいかを聞き、希望する案件を中心に担当をしてもらうようにしました。

その他は勤務弁護士と同様、事務所事件を担当しつつ国選事件など個人事件をするということになります。

私たちの研鑽について

せっかくの機会なので、元々の考えとおり思いがけず敗訴してしまった複数の案件について記録、期日調書も含め全ての記録を読んでもらい、意見をもらいました。正直に何でも思ったことを伝えてもらわないと意味がないと伝えて、率直に論評してもらいました。

受任時の自分の見立ての甘さや裁判官からの次回主張の指示などから私が受け止められていなかった立証の不備なども指摘してもらい、心臓がえぐられるような時間でしたがとても勉強になりました。

それが自分の身に付いてパフォーマンスが良くなかったは自分では分かりませんが、自分なりに弱点は見付けられた気はしています。

勤務弁護士の研鑽について

これは効果てきめんだったと思います。

気軽に事実認定者の意見を聞けるというのは本当によかったと思います。

2年という期間制限があるというのも逆に良いことだなと思いました。2年間しか一緒にいられないのだから、今のうちに吸収できるものは吸収しようと貪欲に吸収してくれたと思います。

経験してもらえたこと

小さな事務所、成長過程にある事務所ならではの体験はしてもらえたと思います。

個人の依頼者から聞き取って必要な事実だけを書面にしていくという作業であったり、書類が何も整理されていない段ボールからいかに有利な証拠を探していくかであったり、将来の和解を見据えて一見無理筋のような主張をしてみたりと、裁判官では体験しがたい体験をしてもらえたのではないかなと思います。

また、アルシエンの勤務弁護士育成のテーマの一つとして経済的基盤を作るという点があります。職務経験中も事務所内営業セミナーを開催していますし、私たちがどのようにして案件をご依頼いただいているかの工夫であったり、依頼者とどのように付き合っているか、事務所運営にどのようなお金がかかっているかなど、弁護士の経営の側面も包み隠さず見てもらえたと思います。

更には、いずれも清水先生のお仕事絡みですが、縁があって共著者として出版する機会にも恵まれ、学会で発表をしてもらう機会もありました。

2年間という限られた期間ではありますが、弁護士の楽しさや大変さ、裁判官との考え方の同じ部分や違う部分について、たくさん経験をしてもらえたのではないかと自負しています。

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