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育成テーマ① 経済的基盤の早期確立を重要視している理由

法律事務所アルシエンの勤務弁護士の育成テーマは
① 経済的基盤の早期確立
② 弁護士の職人としての地力を蓄える
③ ライフワークバランスを取れるようにする
の3つとしています。

弁護士として生計を立てて行くには、案件の受注(営業)と案件の遂行(弁護士としてのスキル)が車の両輪になります。

どちらも大切なのですが、今回は、まずアルシエンの最大の特徴ともいえる営業面での支援、経済的基盤の早期確立を育成テーマにしている理由についてお話します。

事務所説明会で最初に説明をすること

弁護士職務基本規程では、「依頼者との関係における自由と独立」を謳っています。

(依頼者との関係における自由と独立)
第二十条 弁護士は、事件の受任及び処理に当たり、自由かつ独立の立場を保持するように努める。

でも、依頼者との関係で自由かつ独立の立場を保持するのは大変です。
明日の生活もおぼつない状態であっても、お金を支払ってくれる目の前の依頼者に対して、時に依頼者の意に沿わない方針、見通しも伝えなければいけないわけですし、できないことはできないときちんと断らないといけません。

これは本当に大変なことだと思います。
人は弱いですから、お金に困っていたら、ついお金に目が眩んで自由かつ独立した職務ができなくなることもあるかと思います。

そう考えると、弁護士として「自由かつ独立」に職務を行うには、最低限生活はできる状態になっていることが一番大切なことなのではないかと思います。

そこで、事務所説明会などアルシエンに入所することを検討している方たちに対しては、アルシエンでは勤務弁護士が早期に経済的基盤を確立させることを重要視していますと伝えています。

貸与金の全額繰り上げ返済

65期から70期までの間、司法修習生に給費がでない時期がありました。しかも修習生はアルバイトは原則として禁止されているので、修習に専念するためにはお金を借りなければいけないという問題がありました。いわゆる谷間の世代問題です。

先ほど書いたとおり弁護士が自由かつ独立に職務を行うには経済的な裏付けは極めて重要な要素だと思います。
それなのに2~300万円の借金を背負って弁護士を始めるという制度になってしまったことについては、私も清水も木村も大反対でした。

私は司法修習貸与制違憲訴訟の名ばかり原告代理人にもなっていましたが、事務所としてまずは目の前のできることからしようとパートナー間で話し合い、アルシエンの勤務弁護士で貸与金を利用している弁護士については返済開始前に事務所負担で全額繰り上げ返済してもらうことにしました。

これも事務所として、弁護士が自由かつ独立した職務には経済的な基盤が重要だと考えていることの現われかと思います。

ケンカをしない工夫

事務所として経済的基盤の早期確立を重視するもう一つの理由はケンカをしないためです。

メンバー同士でケンカとならない1番の工夫は、各メンバーの経済的基盤が確立していることだと思います。

生活に困らない程度には経済的基盤があれば、些細なことで揉めるより現状の方が得かなと思うので、つまらないいさかいは減るのではないかと思います。
※元々そういう人たちがアルシエンに集まってるからとも言えます。

それに勤務弁護士としても、弁護士としての仕事の進め方だけでなく、自ら依頼者を獲得する方法を習得しておけば、パートナー弁護士に対しても忌憚なき意見を出しやすくなるのではないかと思います。

ということでアルシエンでは経済的基盤の早期確立は最重要課題として捉えています。

アルシエンの設立当初はメンバー同士で毎月の売上を報告し合って、売上が立たない時は互いに仕事を回し合ったり、経費の負担を調整したりもしていました。

今も年に1回はパートナー弁護士同士で売上の報告しています。幸いにしてそのような事態になったことはないのですが、もし売上が低くて生活に支障がでるというパートナー弁護士がいればテコ入れをする予定です。

勤務弁護士に対する経済的基盤の作り方の指導

勤務弁護士には3年から5年で「努力して司法試験に合格して弁護士になって良かった」と思える程度の生活(これは人によって異なります。)ができるような売上があげられるようになることを目指して育成しています。

事務所を開設して10年が経ち、設立パートナーや勤務弁護士の育成を通して東京で弁護士をしていく上で、ある程度の売り上げを立てるノウハウは蓄積されています。
※すごい売り上げられるようになるというわけではなく、あくまで「ある程度」です。そこまでのノウハウは持っていません。

アルシエンに入所した先生に対しては、入所してすぐの時期にそのノウハウをまとめた営業セミナーも行い、早いうちから将来の自分のビジョンを意識してもらうようにしています。

また、その弁護士のコンセプト作り、ブランドストーリー作りなども手伝っていますし、パートナー就任に向けて勤務弁護士の個人受任用のランディングページを作ったり、出版企画を紹介してあげたりと、勤務弁護士の個人事件用の広告を出してあげたりと、事務所側として勤務弁護士の経済的基盤確立に向けてかなり手厚くサポートしているつもりです。

その甲斐あってか、勤務弁護士がしっかりと自分の経済的盤を作り、結果としてパートナーに就任してくれる率も高くなっています。

受任ノルマとかはないです

営業面での指導をするといっても、個人受任がしやすいくようにという意味での指導であり、勤務弁護士に受任のノルマを課しているわけではありません。

パートナー弁護士の案件の受任フローは、パートナーのみで完結しており、原則として勤務弁護士に手伝ってもらうことはありません。ですので、アルシエンでは受任率とか受任ノルマなどという概念もありません。

アルシエンでは、パートナー弁護士は自分で請けられる範囲内で仕事を受任し、その業務を勤務弁護士に分担してもらうというスタンスです。

勤務弁護士はこれに加えて、事務所事件に支障がない範囲で個人受任を積極的にしてもらうことで、実力を伸ばして欲しいと思っています。

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