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アディーレさんの広告に学ぶ弁護士が提供する価値について

今日の話も受け売りです。
好きな言葉は「学ぶは真似ぶ」なので、真似っこは大好きです。

しなやかな解決力についてお話した際に、依頼者は、相談者は弁護士に法律問題があるから相談に来るのではない。具体的に困っていること不安なことがあって相談に来るのであり、その原因が法律問題であり、その解決手段の一つとして法的手段があるに過ぎないという話をしました。

私がこのことに気が付いたのはアディーレさんの広告のおかげ、もっと正確に言うとアディーレさんの広告を解説してくれたあるセミナーのおかげなのです。

東弁のセミナーでの解説

そのセミナーは2009年5月に東京弁護士会で行われた「弁護士独立開業マーケティング」というセミナー(講師:大山滋郎先生)です。
これは今も記憶に残る神セミナーでした。

講師の先生から、弁護士はお客さんにどのようなアピールをしているのか、つまりは弁護士はお客さんに何を売っているのかという問いかけがありました。その先生は、アディーレさんの当時の広告を元に説明してくれました。

当時、アディーレさんは債務整理業務を売りにしていたのですが、広告で何をアピールしていたかというと・・・

広告には「取り立てが止まります」と書いてあったのです。

いや弁護士に債務整理を依頼して受任通知を出せばどの弁護士に依頼しても取立ては止まるじゃないですか。アディーレさん以外に依頼しても結果は全く同じですよね。
全く比較優位にならないアピール内容なのです。

でも、世間へのアピールポイントは「取り立てがとまる」だったのです。

債務が整理できますとか借金が減りますとかアディーレにはこんなに経験がありますとかアディーレは親切対応ですなどではないのです。

誰がやっても同じ結果になる「取り立てが止まる」なのです。

具体的に困っていることはなにかという視点

よくよく考えてみると、債務で困っている人は、別に債務が過大で返せなくて困っているのではないのですよね。借金がどれだけいっぱいあっても、誰からも催促されていなければわざわざ弁護士になんて相談しないのですよ。

債務で困っていると相談に来る方は、

債務を返せないでいたら矢のような取立てが来て精神的に参ってしまっていること

に困ってるのですよね。

そうであれば、まずは具体的に困っている事柄である取り立てに着目して、弁護士に依頼したら取立てが止まり、精神的に楽になりますよと教えてあげるのが弁護士の価値の伝え方としては適切なのではないかと気が付きました。

弁護士にとって当たり前のことを伝えるという視点

そして、弁護士からすれば弁護士が受任通知を出せば取立てが止まることは当たり前のことですが、一般の方にすればそのようなことは知らないわけです。

弁護士にとっては当たり前のことであっても、それをしっかりと困っている方に伝えるということはとても大切な視点だと思いました。
この点は今もアルシエンの弱い部分なので、改善しなければいけません。

現に取立てに困っている方に、広告で弁護士に相談したら取立てが止まるかもしれないことを伝える。
そして、相談に来られた方に、弁護士が介入して受任通知を送り、破産や個人再生、任意整理などの債務整理という法的な手段を取れば取立てが止まると提案するという流れなのだと思います。

依頼者が真に困っていることをしっかりと把握して、そこを解決できると伝えているからこそ、アディーレさんはあそこまで大きくなったのだと思います。
※なお、アディーレさんには全く知り合いがおらず内情を知りません。単に広告を見た感想です。

それを10年以上前に考えていたアディーレさんはさすがです。
また、それを分析して分かりやすく解説していた大山先生(面識はありません。)もすごい方だと思います。

セミナー受講を転機に独立へ

その研修を受けて以降、弁護士は一体何を売っているのだろう、私はこれからいったい何を売っていけばよいのだろうかと考え始め、現在の「しなやかな解決力」という事務所のモットーにつながっています。

余談かつ自慢なのですが、そのセミナーでは勤務弁護士時代に私が手がけていた葬儀社との連携スキームも解説されていました。

講師の先生も早速真似をして葬儀社に営業を掛けてみたというというお話しを聞いて、私の考えた連携スキームが事例として取り上げられたことを嬉しく思うとともに、すぐに真似をして動かれているのを怖くも思いました。

私は2007年9月に弁護士になったので、このセミナー聞いたのは弁護士になって1年半頃です。

正直にいって、このセミナーを聞いた際には、自分の置かれている環境に青ざめました。

というのも、既に独立開業している方たちがこんなにマーケティングを考えて事務所運営をしているのかということにまず驚きましたし、こんな分かりやすいマーケティング研修が弁護士会で主催され、低廉な価格で受講できるのかということにも驚きました。

これは、早めに独立して営業基盤を作らないとこれから来るであろう弁護士の大競争時代に巻き込まれてしまうのではないかと強い危機感を覚えました。

このセミナーを聞いて以降独立を考え始め、実際に1年半後には独立してアルシエンを開設し、その際の事務所理念を作るきっかけになったので、私にとってまさに一大転機になったセミナーとなりました。

人の人生を変えるセミナーってすごいですよね。
お会いしたことはないのですが、講師の大山先生には感謝の気持ちでいっぱいです。

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