ぐるぐると回った先に

 ここ半年、会社では、ずっと同じ検討をしている。
 色々な選択肢がある中でそれを洗い出して、どれがいいのか?というのを考える仕事だ。規模が大きいので合意を取るには、しっかりとした検討とストーリーが必要になる。さらに、幾つかのマイルストーンとなるイベントも超える必要がある。そのため、同じ検討を続けている。年始までこの作業は続く。
 全体像が把握できてしまえば、あとはどんどんと深く掘っていく作業だ。大きな絵を描いて、細部をどんどんと詰めていく。そこで出てきた新しい課題をさらに掘り下げる。その繰り返し。そして、大体検討をすればするほど、難しさの方がより浮き彫りになってくる
 ぐるぐると同じところを回っているような気もしてくる。
 そういう時には、同じところを回りながら、螺旋上に進んでいると考えるようにもしている。だが、今回は、その階段は上ではなく、下に向かっているような気もする。

 一方で、新しいことにチャレンジを始めている人達も世の中にはたくさんいる。
 そういう人達の書いている物を見ると、全てが新鮮さに溢れているように見える。新しい場所、新しい会社、新しい人、新しい仕事。その、目に映る世界全てが輝いて見えるような文章が、まぶしい。正直に言えば、うらやましくさえある。

 同じところにとどまり、ぐるぐると回るのか。
 あるいは、新しい所に飛び出していくのか。

 書いてて思ったけれども、苦しい所でぐるぐると回り続けることが、自分はやはり苦しいのだろう。考えれば考えるほど答えが分からなくなる中で、締切は段々と迫ってくる。色々と関わってくれている人にとっても良い結果にしたいが、そう出来る自信も今回の案件には正直ない。そして、それは自分が努力をすればどうにか出来る範囲は、かなり限定されている。言語化出来ていなかったけど、苦しいは苦しい。
 ただ、苦しさだけを、続ける/続けないの判断にするのは誤っているだろう。

 どちらかと言えば、自分はこらえ性がない方だ。同じところには、いると飽きる。だから、会社は1社だけれども、その中で様々な部署を移動している。大きくは3回。細かくは7-9回。
 前の部署移動の際、当時の上司に言われた言葉を思い出す。「一つの所に5年以上とどまって、何かの結果を出した方がいい」。

 3年も同じことをすれば、かなりのものが身に付けられると思う。
 だが、3年で結果が出るかは別の話だ。それは与えられた課題の難度、その時の環境、そして運による。実力はその次だと個人的には思う。
 だが、その仕事が辿り着くゴールまでその場にとどまり続けることは出来る。その中で誠実に課題に向き合い続けることは、結果と関係なく出来るはずだ。

 しっかりとした仕事がしたい。
 勝つにせよ、負けるにせよ。
 それには粘り強さが必要だ。
 そんな風に思う。

 こういう根性論は嫌いだ。特に人に言われると腹が立つ。
 ただ、物事はそういう風に向き合わないといけない部分がある。
 「いつもは、うまくいかない」という真理のせいだろうな。

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