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練習時間と上達のスピード

ヴォーカルトレーナーの竹本です!
本日も音楽ブログをお届けします。

『1日5時間、楽器の練習をしてきました!』など、寝ても覚めての楽器の練習に明け暮れてきたというお話は、プロの音楽家からよく聞きますよね。こういった練習スタイル、果たして歌い手には当てはまるのでしょうか?

答えは『NO』です!
このような長時間の練習は、歌い手としてはできれば避けた方が良い練習方法の1つです。

良い声の出し方を身につけている人ほど長時間歌い続けることができ、発声がままならない人ほど短時間で声が枯れて出なくなるものですが、いくら発声法が完璧な歌い手でも、声を使えば使うほど『声帯疲労』という状態が起きていきます。

スポーツやフィットネスでも、練習や動かしすぎで「もうこれ以上腕が上がらない!動かせない!」といった状態や筋肉痛になったりといった経験をしたことがある人も多いのではないかと思います。感覚的にはそういった状態に似ていて、声帯疲労が起きると、それまでと同じように良い姿勢で息を送って、同じように出そうとしても「出てくれない・喉が動いてくれない」といった状態に陥ります。それでも出そうとし続ければ「無理矢理・力を込めて・ただ勢いで」出すことになり、更に状況を悪化させてしまいます。

ただひたすら歌い続けることで、逆に喉のパフォーマンスが落ちる。結果、上達しない。
「練習時間・練習量」が、そのまま「上達のスピード」に結びつかないのが、歌の練習をしていく上で難しいところです。

では、どのように練習していけば良いのでしょうか?

それは、『短時間で効率よく練習する』ことです。

「声の持久力・持続力」には限界があります。
発声法の身のつき方でも大きく変わってきますが、そんなに長くはありません。

よく初心者ほどレッスン時間を長くしたいと思いがちですが、トレーナー目線から言えば、発声がままならない時ほど「短時間で良い出し方だけを身体に経験させてあげる」ことの方が、効率よく上達へ向かうのです。「悪い発声で・長くダラダラ練習する」と、悪い習慣がなかなか抜けず、悪い発声が染みついてしまいます。たくさん練習したい気持ちは理解できますが、かえって逆効果になるのです。

それよりも、「良い発声で・短時間の練習をする」方が、「声の持久力・持続力」を考えた時にも、とても効率のよい方法であると言えます。これは僕自身も学生時代に何度も恩師から言われていました。

「短時間で効率よく練習をする」ためには、「何が良くなくて・何を直せば良いのか」という自己分析が必要になります。自分の歌を録音したり、歌っているところを撮影してみたり、自分自身の歌や歌っている姿をその場で客観的に見ながら練習できる環境を作ってみましょう。それを考えると、スマホは最強の練習ツールとも言えますね!

実際に生徒さんを見ていても、自己分析がしっかりできている人ほど、成長のスピードが段違いに早いのです。

皆さんの中には、長時間練習せざるを得ない状況に追い込まれることがある人もいるでしょう。

そういった場合でも、「連続で・長時間歌う」ことは避け、10分や15分に1度は必ず数分間の休憩を取るように心がけましょう!自分への過信は禁物です。これは、初心・プロのレベルに限らず、全ての人に当てはまることです。
声帯疲労が回復しないまま、疲労が蓄積されればされるほど、歌い手が1番恐れる『声帯結節』『声帯ポリープ』といった声帯のトラブルに繋がります。それらの多くの原因は「悪い発声」であり「歌いすぎ(使いすぎ)」によるものなのです。

「使いすぎたな」と思った時には、「休ませる・使わない」ことをする習慣を身につけましょう。
軽い声帯疲労であれば、ひと晩休ませるだけでもかなり回復するはずです。今日の積み残しは、明日やれば良いのです。

皆さんの大切な楽器である『声帯』は、ほんの数センチの長さのもので何オクターブという音域の音を出す驚異的な代物しろものですが、乾燥にも弱く、とても繊細な楽器です。

自分の『声帯』は『自分にしかない唯一無二の楽器』
その相棒を大切にしながら、トラブルなく効率的に上達できる練習方法を工夫していってみませんか?

それでは次のブログでお会いしましょう!

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