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「5年後も、僕は、生きています。⑥目標を設定すると、向こうからそれがやってくる」

⑥目標を設定すると、向こうからそれがやってくる

帰省した翌日の8月13日、さおりちゃんと会いました。

さおりちゃんは寺山心一翁さんのワークショップで知り合ったガン仲間です。

さおりちゃんはカウンセリングをを勉強していて、入院前の6月3日にそのカウンセリングを受けたことで、僕は僕の心の奥底にあった父に対して抱いていた「悲しみ」に気づくことが出来ました。

東洋医学、陰陽五行の見方で言うと、「肺の病気」は「悲しみ」という感情が原因と言われています。

大腸も同じ系列です。

僕は「肺ガン」。

なぜ僕が「悲しみ」なのか、はじめはさっぱり分かりませんでした。

でも、さおりちゃんのカウンセリングを受け、僕の中、奥底に格納されていた「悲しみ」に気づくことが出来たのです。

大好きなお父さんから

「愛されていない」

「僕は悲しいんだ!」と、

傷ついたインナーチャイルドが光の当たらない暗闇の中で声をあげて泣いていたのです。

でもいまは、それがその子の『勘違い』だったということを知っていますが、まあそれは置いておきましょう。

そして入院直前の6月10日に、僕のガンのもとである『悲しみ』を父にすべて告白し、僕の存在していた『悲しみ』というエネルギーを外に出すことが出来ました。

そのおかげで「僕は、治る」、前著の題名にもなった「僕は、死なない。」という確信を得たのでした。

そのあたりは前著「僕は、死なない。」に詳しく書いてありますのでご興味のある方はそちらを。


さおりちゃんと東京駅近郊のスターバックスで待ち合わせました。

さおりちゃんは言いました。

「お父さんに言えたんだね。すごいね」

「うん、まあね」

「どんな感じだったの?」

「近所の喫茶店に来てもらったんだけど、入院する3日前だったかな。たまたま母親と会う用事があってさ、父にも来てもらったんだ。で、そこで1時間半くらい話した。もう途中から涙がとまらなくなってね、ボロボロだったよ」

「そうなんだ、すごいね。勇気ある~」

「いや、宿題だったし」

父にすべてを話すことは、さおりちゃんから僕への宿題だったのです。

「ああ、あの言葉も言えたの?」

「うん、最後にちゃんと言ったよ。『わたしはあなたを許します、前に進むために』って」

「すごーい! あれって、なかなか言えない人が多いんだよ」

「いや~」

「で、どうだった? そのときの気持ちとか、その後の身体の感じとか、なんか変わったことある?」

「そうだね、まずすごく身体がすっきりしたね。軽くなった。ああ、悲しみが出てったって感じかな。なんかね、すぐに『元気ハツラツ』にはなったわけじゃないけど、ああ~これで治るって感じたんだ」

僕はそのときの身体が軽くなった感じを思い出していました。

あのとき、ほんとうに身体が軽くなったのです。

「そうなんだ~。私も親に話したけど、途中から言い合いになっちゃって、うまく最後まで言えなかったんだ。どうやったの?」

「うん、自分の感情を全部吐き出すことが必要だって言われたから、言いたいこといっぱいあるだろうけど、とりあえず最後まで反論しないで聞いてくれって、最初にお願いしたんだ」

「そういう手があったのか~」

「さおりちゃんのおかげだよ。本当にありがとう」

「私もうれしい~!」

さおりちゃんは、はじける様に笑った。

「おかげで身体のガンもほとんど消えたんだ」

「うん、知ってる。すごいね、奇跡だね」

さおりちゃんをはじめ、寺山先生の所で知り合ったメンバーとは、ラインで頻繁に情報交換や現状報告をしあっていました。

「今の体調はどうなの?」

「う~ん、癌はほとんど消えたんだけど、まだ調子が上がらないんだ」

ステロイドを止めたこともあって、身体のだるさは相変わらず続いていました。

「そうなんだ、おかしいね」

「いやだって2ヶ月前まで身体中にガンがあったんだから、しょうがないと思うな」

「でもさ、ガンはほとんど消えたんだよね。身体はすぐに回復しなかったとしても、元気が出ないのはなぜなんだろう?」

「身体の回復に力を使っているからじゃないのかな」

「ううん、もしかすると自分の中にまだ気づいていない感情があって、それがジャマしているかもしれないよ」

こういう投げかけが出来るさおりちゃんは、さすがです。

「そうなのかな」

「元気になると困ることってない?」

元気になると、困ること?

そんなこと、考えたこともありませんでした。

早く元気になりたい、早く元の生活に戻りたい、そうは思っていましたが。

 

「別にないけど…」

僕のもやついた顔を見て、さおりちゃんが聞きました。

「なんかあった?」

 

そう、ありました。

僕の中に元気になりたくないって言っているもう一人の僕がいたのです。

「なんかね、こういうこと言うと情けないかもしれないけれど、まだ働きたくないって心の中で言ってる自分がいるんだ。早く元気になると働かなきゃいけない」

「そうなんだ、元気になったら働かなきゃならないもんね。まだ働きたくないんだ」

「そうだね、1年近く休んでいると今の生活に慣れちゃってね。毎日寝坊出来るし。それと前の仕事に戻るイメージがあまりわかないんだよな」

「そっかぁ。そうなんだ。じゃあホントはどうしたいんだろう?」

ホントは、どうしたい?

ホントは、どうしたい?

僕は、そんなことも考えたことがありませんでした。

「そう、ほんとうの自分、ほんとうの気持ち」

「ほんとうの自分か…」

ほんとうの僕は、どうしたいんだろう? 

ふと、南伊勢の清浄な大自然の風景が浮かんできました。

「そうだなあ、退院した後に南伊勢に行ったんだけど、自然がすごくあってね、ああいう大自然の中でかみさんとふたりで暮らしたいって思ったな」

「じゃあ、目標の十段階ってのがあるんだけど、やってみない?」

「目標の10段階? なにそれ?」

「少しずつ目標を設定して、最終的にそこに到達するイメージを描くの」

さおりちゃんは目標設定の仕方を説明してくれました。さおりちゃんに言われるまま、僕は自分なり目標の10段階を作ってみました。

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10個の中には夢のようなことも出てきました。

まあ言うだけだし…と、軽い気持ちで10個をリストアップしました。

「まず、最初はなにかな?」

「そうだね…、最初は右目が良くなって治療の必要がなくなること」

「右目の治療が必要なの?」

「うん、眼科のドクターから、放射線治療をしようって、さかんに言われてるんだ。2番目は声が出るようになって、話がスムースに出来るようになること」

「そうだね、まだ声出てないもんね」

「三番目は、腫瘍マーカーの数値が基準値に入ることかな」

「まだ入ってないの?」

「うん、ずいぶんと下がったけどね。それと次の四番目は、CTの画像から癌の影が完全になくなること」

「まだ影があるんだね」

「ずいぶん小さくなったけどね。原発のところ以外は消えたんだけど、原発がもうちょっとかな。5番目は、ドクターから寛解の承認が出ること」

「いいね、寛解」

「やっぱり、これが癌患者の目標だよね。で、その次の6番目は本を出版することかな」

少し気恥ずかしかったけれど、口に出して言ってみました。

僕が本を書きたいということはいままで誰にも言ったことはありませんでした。

夢みたいで実現しそうになかったからです。

「え~、出版するんだ、本」

「うん、自分の体験をまとめて本を書きたいんだ。僕の場合は普通のルートをたどってない分だけ、いろんな人の参考になるかもって思ってね」

「そうだよね、タケちゃんは最初、病院の標準治療を断ったんだもんね。いろんなことやった結果、いまがあるんだもんね。きっと勇気をもらえる人がいっぱいいるよ。私も勇気もらったもん」

「ありがとう。まあ、自分のやり方にしがみついて痛烈なノックアウト負けを食らったけどね」

「7番目は?」

本を書くといった以上、その先も言うしかありませんでした。

「7番目はその本が評判になって、講演依頼とかがじゃんじゃんくること」

もう、夢のような話です。

「いいね~」

「8番目は仕事や人脈にも恵まれて、お金がじゃんじゃん入ってくる!」

完全に、夢の世界です。

「おお、すご~い」

「9番目が、大自然の中にかみさんと住むんだ。南伊勢みたいなところがいいな。鳥の声が聞こえる森の中に住みたいんだ」

ほんとうにそうなったら、最高です。

「自然の中はいいよね」

「最後は魂とか宇宙とかに導かれるような仕事をして、自分にも世界にも貢献する人生、かな」

そっか…ここが僕のゴールなんだ…

僕は改めて10個のリストを眺めました。

自分のゴールが初めて見えました。それは、いままで考えたことも想像したこともないものでした。

「すごいね。きっと出来るよ。私は出来ると思う」

無意識の中にあったものが文字化されて目の前に表されると、なんだか出来そうな気持ちになるから不思議です。

「うん、なんだか出来そうな気がしてきた」

「そうでしょ。目標って、こうやって書くとイメージしやすいんだ。イメージがちゃんとできれば…」

「そう、現実化しやすいんだよね」

そう、「思考は現実化する」という言葉は、半分以上現実なのですから。

僕は、大自然の中で妻と二人で静かに暮らしている姿を想像してワクワクしました。

でも僕はそのとき、10個の目標の中に、会社の仕事がひとつも入っていないことに。全く気づいていなかったのです。

その時に書いた目標がその後どうなったかと言いますと…2022年1月現在

①右目の治療の必要がなくなる…2017年10月ころ現実化

②声が出るようになって、ちゃんと話せるようになる…2018年1月ころ現実化

③腫瘍マーカーの数値が基準値に入る…2017年10月に現実化

④CT画像からガンの影が完全に消える…2018年1月に現実化

⑤ドクターからの「寛解」…2018年4月に現実化

⑥本の出版…2019年12月「僕は、死なない。」出版して現実化、その後2021年には2作目の「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」出版。

⑦講演依頼じゃんじゃん…ジャンジャンは来ていないけれど、まあまあ少しは現実化

⑧お金がジャンジャン…これもジャンジャンではないけれど、まあなんとか生活が出来る程度には

⑨大自然の中に住む…まだ現実化せず

⑩宇宙と魂に導かれる仕事をする…これは現実化している気がします

あと、ひとつですね!

すばらしい。

目標を書き出すときは、なるべく頭の中を空っぽにして「思考」ではなく「感覚」重視でイメージするといいでしょう。

「思考」はエゴが創り出すことが多いので、自分の外部のモノを求めがちです。

僕のケースですと⑧なんて、エゴそのものですからね(笑)。

エゴはその裏側に不足と恐れがあります。

それがなかったら、生きていいけない、やっていけない、というネガティブな思い込みです。

お金が入ってくることは分かっている、それがどんなタイミングで、どんなプロセスなのかは分からない。

でもそれを確信して待っている。

そんなBeingでいれば、それは間違いなくやって来ると思います。

ワクワクする魂の声に導かれていれば、必要なものは全部宇宙が用意してくれますから、心配ご無用です(笑)。

第7回へ続く


★2021年12月新刊「さとりをひらいた犬/ほんとうの自分に出会う物語」

読んでいて、泣けてくる人が多いそうです。

僕も泣きながら書きました(笑)




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