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我楽多だらけの製哲書(71)  ~夏の各種セミナーとパスカル~

もうすぐ勤務校も夏季休業に入る。コロナの影響で、ここ数年、長期休みに参加していた各種のセミナーは軒並みオンラインとなっていたが、今年の夏は、対面またはハイブリッド開催も見かけるようになっている。

オンライン開催が一般的になったことで、物理的な移動の時間や交通費の節約で、以前に比べると結果としてセミナー参加数が増えたのは事実である。ただ私としては、会場に足を運び、他の参加者がいる会場の雰囲気・音・匂いといったものを受けとめられる対面の方が、やはりセミナーに参加しているなという実感がある。

さらに対面で1日がかりのものだったりすると、食事も会場周辺の飲食店を利用することになり、普段とは違った味の楽しみもある。

このように対面のセミナーは、他の参加者の存在が視覚・触覚・聴覚などを通して感じられるし、それぞれの会場が持つ匂いから、嗅覚への働きかけがある。そして昼食時には、普段とは違う味覚の楽しみもある。私にとって対面のセミナーは、五感全てが刺激される素敵な時間なのである。

「感覚は、偽りの見せかけで理性をたぶらかす」
これはフランスの哲学者・数学者で、モラリストの一人に数えられるブレーズ・パスカルの言葉である。

確かに、対面のセミナーは先ほど述べたように、感覚的に多くの刺激があって、受けた後は手応えや満足感のようなものがある。しかし、セミナーが本来提供する中心は、「情報そのもの」のはずである。もちろん、ワークショップなどをする場合もあるので、ただ「情報そのもの」を一方的に受け取っているわけではないが、ワークショップの経験はセミナーを通じて受け取る「情報そのもの」の一部分というべきだろう。

これに対して、雰囲気とか音とか匂いといったものは、副次的なものにすぎないのである(食事については言うまでもない)。

つまり、オンラインでも対面でも、セミナーの核となる「情報そのもの」はしっかりと受け取ることができるということである。それにも関わらず、対面でないとセミナーでの大切な「何か」を受け取れないと考えてしまうのは、パスカルの言葉の通り、副次的な感覚の要素によって、理性がたぶらかされているといえるだろう。

ただし、人間は情報だけを受け取る任務を与えられた機械ではないので、雰囲気とか音とか匂いとか、さらには食事といったものも、セミナーに参加しようと思うモチベーションになる点は否定できない。私の場合は、モチベーションに関わる要素の方が実は目的になっているかもしれない。

現在、私はバンコクに住んでいるわけだが、この夏も時間の許す限りセミナーに参加しようと思っている。オンラインのセミナーが増えたことは、こうして海外に住んでいる者としては大変ありがたいことである。とりあえず夏休み中の参加セミナーを把握するため、スケジュールを作ってみた。

開催地が異なる都道府県であっても移動時間を考慮せずに組み立てられて、たくさんのセミナーに参加できるのは本当にオンラインのおかげである。2013年に早稲渋に勤めていたときの予定と比べてみると、オンラインがほとんどになっていることがよく分かる。

今回、対面で参加するのはJICA地球ひろば主催の「国際理解教育/開発教育指導者研修」のみで、これが8月13日と14日に都内で行われるため、少なくともこれに参加するために日本に一時帰国することになる。あとは8月9日のシンガポールの独立記念日に、シンガポールで過ごしたいので、シンガポールに行くが、その間もオンラインセミナーには参加する予定である(当初は鉄道でバンコクからマレーシア経由での南下政策を考えていたが、PCRや入国手続をシンプルにするため、空路に変更、陸路は別の機会にチャレンジしたい)。

日本国外に住んでいての夏休みは、これで8回目となるが、以前と違い出国前にPCR検査を受け陰性証明書を発行してもらわなければならない場合があって大変である。こういった手続がなくなる「日常」が早く戻って来てほしいものである。

#哲学   #パスカル

(以下にセミナーのチラシや、2022と2013のスケジュールを掲載)

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