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❖ジャコウネコのコーヒーみたいな考察❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2022年2月21日)

(長さも中身もバラバラ、日々スマホメモに綴る単なる素材、支離滅裂もご容赦を)

◆ジャコウネコのコーヒーみたいな考察◆
自分の醜き内面をまさぐり曝け出しているうちに、綺麗で価値の高い論点が見つかった。

あるコンビニで買い物をした。便利の誘惑に負けた私は、ビニール袋も希望した。購入した商品はそれなりの量があったので、全部入るか、少し気になっていた。対応している店員さんはベテランではなさそう。商品を入れる手元が少し危うい。結構強引に詰めるなあと感じていたが、最後の「サラダチキンバー」で事件は起こった。

最後の「サラダチキンバー」を一番上に入れてくれればよいところを、その店員さんはわざわざ縦に入れるチャレンジをしてくれたのである。すると「サラダチキンバー」の角で、ビニール袋の持ち手の近くが裂けたのである。私の方から見ても、一瞬、「サラダチキンバー」の角がピョコっと袋を突き破ったのが分かった。

そのことに店員さんも気づいたのだろう。手が一瞬止まり、そのあと少し袋の中を覗き込む仕草を見せた。だが、店員さんは何を言わなかった。そしてそのまま渡されたのである。

これは完全に私の醜いというか、卑しいというか、まあ器が小さい話である。ビニールが裂けたことに気づいたならば、一言でよいので、「裂けてしまったんですが、このままでも構いませんか」とか、「お取り替えしましょうか」と言って欲しかったという気持ちがある。多分、店員さんからそう言われたとしても、このままで良いですと答える覚悟は持っていた。

店員さんにそう言われても、そのままで良いですと答えるつもりなら、店員さんの言葉は必要ないではないかと突っ込まれてしまうかもしれない。確かに、店員さんの一言が欲しいというのは、一見、良い客っぽい話だが、既にめんどくさい客の雰囲気が漂っていて、また自分が他者を許す立場の体感したいという、内実はマウント願望または偽善の自己満足がそこには確実に存在している。

店員さんの立場になって考えると、醜くて卑しい内面がよく顔を出す私だったら、ビニール袋が裂けたことを伝えてしまうと、客から「取り替えてください」と言われるだろうなと考えると思う。そして、そう言われると、ビニール袋を取り替えるため、せっかく詰めた商品を取り出し、新しいビニール袋を用意し、また商品を詰めねばならないという様々なプロセスが頭をよぎってしまうので気づかない振りをしてしまうだろう。だが、やはり気づいたのならば、一言伝えてほしかったというモヤモヤが残っている。

最初はこんな感じで、自分の自己満足とかマウントであったり、店員さんの心意気であったりという「精神面に関する論点」だった。

しかし色々と考えているうちに、店員というのは「小売業」というれっきとした業務に関わっているわけであり、その業務の対価も受け取っているのだから、きちんと仕事すべきという考えが膨らんできた。これは「経済面、特にサービスの在り方に関する論点」である。

さらにこの問題は、「経済面、特に売買契約に関する論点」にしっかり絡んでいることに気づいた。

かつてビニールは、店側が無料で提供してくれるものであった。しかし最近は有料になったので、ビニール袋も商品の一つで、これも売買契約の一部を構成しているのである。そのため、裂けたということは、欠陥商品を渡していることになってしまう。以前ならば、店側の好意でビニール袋に入れてくれているのだから、多少裂けたとしても、家まで持ち運べる状態ならば、仕方ないかというものだったが、これが現在のように商品と考えれば話は違ってくる。

有料とした時点で、ビニール袋に対する消費者の用途は多様になっているかもしれない。だから、単に家まで運べる道具としてだけでなく、家でそこに何かを入れて保管する道具にも利用したくて、お金を払っているのかもしれないと考えると、多少裂けていても大丈夫かどうかの判断は店側がするものではなくなる。

ただ、ビニール袋に相当重い物を入れれば、裂けていようがいまいが破れるとは思うので、そのような耐久性をビニール袋に求めて購入しているのだという主張は成り立たないだろう。3円くらいのビニール袋とその主張を結びつけるのは無理がある。もし耐久性を求めるならば、3円は安すぎるからである。その主張を成り立たせるには、より高額の袋を購入するべきだろう。

とはいうものの、やはり、裂けてしまった場合、消費者にそれを伝え、商品として問題ないとの承知の上で、受け取ってもらう必要があるだろう。

コーヒー豆の一つに「コピ・ルアク」というものがある。これは主にインドネシアで作られる高級なコーヒー豆で、ジャコウネコと呼ばれるハクビシンのような動物の糞から取り出された豆である。ジャコウネコがコーヒーの実を食べ、その後に出した糞の中にある未消化の豆を取り出すので、何となく汚いものに思えてしまうが、独特の匂いがあり、また希少性の点からも、高級な豆として取引されている。

この「コピ・ルアク」は、最初の印象ではネガティブなものであるが、しっかり向き合ってみると、そこに高い価値があることが分かり、ポジティブに捉え直すことができるという典型例であろう。そして、私のビニール袋の考察も、同様の構造を持っていた。

ビニール袋の考察は、当初の自己満足として一言ほしいとか、サービスの在り方から考えて一言伝えるべきとかというレベルで終わるものではなく、実は「売買契約なのだから、一言伝え『なければならない』」という内容が隠されていたわけで、それなりに価値の高い結論を導くことができたと思っている。

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