我楽多だらけの製哲書(72) ~平和を取り巻く理念および実態と宮沢賢治~
20年近く教員をしているが、必ず時間をかけて授業で伝えるフレーズがある。
「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」
これは日本国憲法前文の一節である。
この前文に示された内容は具体的争訟の根拠にできるような裁判規範性は持っていない。しかし、前文は日本の国がどのような国たるべきかを示したものであって、法規範性までが否定されているわけではない。だから前文は、国のあり方を示した理念として、その後で生まれてくる実態に対する上位概念であ