【小説】 川沿いに花 【ショートショート】
僕の住む公団団地はこの街の墓標のように、川沿いにひっそりと並び建っている。
雨の多い季節になってから、家の中も外もずっと薄っすらドブの臭いが漂っている。
窓をほんの少し開けて雨の様子を伺っていると、去年死んだお母さんが話し掛けて来た。
「忠、ドブ臭いから閉めて! 窓開けてるの見られたら「忠君がまた外見てる」って噂になるから!」
「そんな怒らないでよ。どうせ誰も見てないよ」
「見てるんだよ! あんたが鈍感なだけなんだからね! お母さん、あとでご近所さんに「また外を見てた