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ショートショート広場

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一話完結〜数話完結の短編集を載せています。 あなたの息抜きのひとつに添えて頂けたら嬉しいです。
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#小説

【小説】 点となる 【ショートショート】

 七年前に母が他界、その二年後に父も他界し、職のない私が知り得る私以外の他人が世界から消…

大枝 岳志
2日前
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【短編小説】 パパ・グッドラック

 老人ホームに入ってる祖母に会いに行く為に、僕はバスの一番後ろの席に座って山と田んぼだら…

大枝 岳志
10日前
13

【小説】 ホワイト案件 【ショートショート】

 夢や目標なんて、日々を生きるだけで必死な人間にとっては手の届かない贅沢品だ。  一度踏…

大枝 岳志
2週間前
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【小説】 空のうさぎ 【ショートショート】

 茶箪笥の前に整然と並べられた食器達にまともに付けられる値段などないと、買取業者は鼻で笑…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 アイアム・スリラー 【ショートショート】

 何不自由ない暮らしを四十半ばで形成した。以後、妻も子供達にも不自由などさせたことはない…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 逆上がり 【ショートショート】

 一九九四年。秋の風が砂埃を舞い上がらせる夕景の霞む校庭の隅、一郎は鉄棒を握り締めたまま…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 マジいかちい! 【ショートショート】

「マジだりぃ」 「だりぃ。つーか、クソだりぃ」 「タバコ切れそうなんだけど。うわっ、だりぃ」 「オレの……うわ、あと二本しかねぇし。だりっ」  高校生のアキヒロとヨウスケは放課後の駅前で、ウンコ座りの姿勢で「だりぃだりぃ」と連呼していた。スマホ以前が折り畳み携帯で、そのさらに前が白黒画面の端末だった頃の時代である。  アキヒロは携帯のアンテナを伸ばしながら、前髪を弄りながら自慢げにニヤついた。 「ヨウちゃん、これヤバくね? アンテナ、八十センチ」 「え? それ光んの?」

【小説】 戦争はもうやめよう 【ショートショート】 

 とある国の将軍は日々、思い悩んでいた。  外貨獲得の為にデモンストレーションとしてミサ…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 斎藤君の変 【ショートショート】

 いつものように学校へ行こうと家を出て、同じクラスの斎藤君が来るのを僕は通学路で待ってい…

大枝 岳志
2か月前
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【小説】 既知との遭遇 【ショートショート】

 中学を卒業してから十五年。青春もだんだん遠い昔だなぁなんて思えて来た今日この頃だったけ…

大枝 岳志
2か月前
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【小説】 夜のない街 【ショートショート】

 あまりに短い夏が過ぎると、名残を惜しむようにこの街の太陽は沈むことがなくなり、空は夜の…

大枝 岳志
2か月前
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【小説】 干乾びる千の鐘 【ショートショート】

 小学四年の夏休みを迎えていた悠斗は昼間、居間で流れるアニメの再放送に見入っていた。夏休…

大枝 岳志
2か月前
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【小説】 彼方のサンマ 【ショートショート】

 半分人間の私はロボ部長に言われた通り、魚の中でも特級に美味いと言われている「サンマ」を…

大枝 岳志
2か月前
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【小説】 川沿いに花 【ショートショート】

 僕の住む公団団地はこの街の墓標のように、川沿いにひっそりと並び建っている。  雨の多い季節になってから、家の中も外もずっと薄っすらドブの臭いが漂っている。  窓をほんの少し開けて雨の様子を伺っていると、去年死んだお母さんが話し掛けて来た。 「忠、ドブ臭いから閉めて! 窓開けてるの見られたら「忠君がまた外見てる」って噂になるから!」 「そんな怒らないでよ。どうせ誰も見てないよ」 「見てるんだよ! あんたが鈍感なだけなんだからね! お母さん、あとでご近所さんに「また外を見てた