読書感想(ブラックボックス)

第166回芥川賞受賞作品。
  著者 砂川文次 

主人公佐久間は
腹が立った→キレる。とっても単純な人。

例えば、コンビニでバイトをしている時
佐久間と一緒にレジをしていた、女バイト店員にぐだぐだ言ってくるめんどうな客が出てくる。そこで佐久間は、その客に暴言を放つ。

もう一つ凄いのは、税金を払っていない、佐久間の家に訪ねてきた
若い税務署職員の顔が、ニヤついている様に見えた佐久間は、馬鹿にされていると思い込み、暴力をふるう。鼻の骨を折るほど殴ってしまう。
さらに、つめかけた警察にも、えげつない暴力をふるう。

すごー・・・

現実にはこんな人間めったにはいないと思うが、いることはいるんだろうな。時々、にわかには信じられないニュースあるし。

印象に残ったシーンで、刑務所の中では、ただ座っていいることしか
出来ない。テレビも本もない。
出来ることはただただ自分と向きあうことだけ。
こんな状況に実際になったら、苦しいのだろうが、
佐久間はその状況をある意味楽しんでいる。
今の社会は、何でもありで、自由すぎて、逆に生きにくいタイプ。
刑務所の中での決まり切った。
限定された自由の無い生活が生きやすい。

確かに「こんな風にしていなさい」と言われて生きるのは
楽だ。何も考えずその通りにしていれば良いのだから。

私たちが生きている、お腹空いたらご飯食べて、仕事して、たまに
友人とあって遊んだりするこの世界と刑務所の中、それは
全く違うものの様に思いがちだが、結局は人間のいる社会。
同じなんだなと。


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