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花火を仰ぎ見てみたい
浮世絵に描かれた昔の花火は、
想像以上に空の一番高い所にあって、
人が作り出した「仰ぎ見る光るもの」
として、
驚きと尊敬を込めて、
見上げる花火だったのでは?
きっと、人々の心も、
花火と一緒に、
夜空の高い、高〜〜いところへ、
一緒に翔んで行ったのでしょう。
みんなが顔をあげ、
夜空の上の方の一点を探し、
光る同じものを見たのでしょう。
それより高いところには、
お月様とお星様しか、
いなかったことでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1690695074368-xFqsGXGqPW.png?width=800)
4年ぶりの隅田川の花火大会、
押し寄せた100万人の人々は、
夜空に何を観たのでしょう?
何か仰ぎ見たのいものが、
そこにあったのでしょうか?
見たかったのものは、
・夏らしさでしょうか?
・日本らしさでしょうか?
・それとも、みなで夜空を見てみたかった、
のでしょうか?
今は、
誰も人間が作った最も高くまで行ったもの、
としては、花火を見ていないのでしょう。
隅田川の河岸では大勢の人々が、
今か今かと、夜空を眺め、
おそらく「この辺りに」花火は上がるだろう…、
きっと見えるはずだろう…、
と、辺りをつけている様子。
でも、
おそらく想定していた高さよりも、
案外低い位置が花火の到達点で、
見物客の中には、
音はすれども姿が見えない、
「えっつ、どこ?」見えな〜い。
という声も上がっていたようです。
人々が、
息を止め、
夜空を見上げ、
心ひとつに仰ぎ見た、
あの感じは、
花火のように世界から消えてゆき、
想定していた高さに見えるのは
ヘリコプター、
横には、
まるで抱きつこうとする子猫を、
微笑ましく見下ろす飼い主のように、
すっくとそびえ立つスカイツリー。
今、上を探しても、
そこには花火は見えないのかもしれない…。
花火は、
心の中か、スマホの中で、光って消えるもの、
に姿を変えつつあるのかも知れない。
あるいは、
もっと高く上がる花火を作る人が、
出てくるかも知れない…。
そんな気持ちと、
寄ってくる夏の蚊を、
やんわりと振り払うように、
団扇で仰ぐ、
今宵の隅田川かなぁ。
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