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キレイになる魔法の雑貨屋さん

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エッセイ、ショートストーリー、 幸せに役立ちそうな雑貨屋さんのようなコンテンツ
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#超ショートショート

春を呼ぶ 呪文

北陸の2月はまだ寒い、 上空にシベリア冬将軍が、 陣取っている。 春を探しているケメコは、 どこかに春が顔を出してはいないかと、 近所をくまなく探したが見つからなかった。 春は中々顔を出さず、 寒い日が続いた。 ケメコは、 冬将軍の寒さを堪えて、セーター編んでみた。 ちゃんこ鍋に誘って、一緒につついてみた。 けれど、冬将軍はおいとまするどころか、 上空に居座っていた。 ※ 2月14日、バレンタインデー、 巷では、 チョコが、トレンドに入った。 ケメコは、トレンド

鏡に向かって「お任せください!」

鏡に向かって、 これでいい? 鏡に向かって、 ここダメじゃん! するために、 そう、そのためにだけに、 鏡って、あるワケじゃない。 鏡の正しい使い方は、 鏡に映る自分に向かって、 「今日も、私はしっかり生きます!」 お任せくださいっ!! すること。 ※ いつの頃からだろう? 自分に、 「自分の人生は、お任せ下さい!」 しなくなったのは? いつの頃からだろう? 人に、 「自分の人生は、大丈夫でしょうか?」と、 毎日、聞く様になったのは。 いつの頃からだ

雪になりきれなかった雨

夜、雪になりきれなかった雨で、 路が濡れていた。 それは、どこか、 今日は「雨るぞ!」って、 そのつもりで、空から降った、 雨じゃなかった。 「4回転するぞ!」って、 そのつもりで、滑り出して、 空中で「やっぱり3回転半かなぁ」って、 「飛んでみたジャンプ」みたいに…。 そんな跡が、 街のあちこちで、 路を濡らしていたような夜でした。 空も悩むんだなぁ。 冷たくなりきれずに、流れた涙? 覚悟しきれずに、手放した言葉? 流れた? 固まらなかった? それとも引いた?

「タイムマシン」を買った

さあ〜♪ そのスイッチを ちょいと昔に回せばぁ〜♪ 十字路で信号が変わるのを待つ間、 繰り返し、わたしの頭の中で再生されている曲、 サディスティック・ミカ・バンド。 「タイムマシンに〜お願い」 目の前の信号は、青に変わった。 曲につられて、 頭のスイッチを、ちょいと左に回してみた。 横断歩道を直進するのを止め、 左折してみることにした。 どうせ、目的地のない散歩なのだ。 それから数分間、 わたしは曲に合わせ、時間の螺旋を歩いていた。 曲が終わると、 わたし