決算期は、いつにするか?
続いて、決算期についてです。世の中の決算期を見渡すと、日本では圧倒的に、4月-3月が多いです。次に1月-12月。あとは、3月-2月や7月-6月などもあります。自分たちで決めて良いわけですが、どのように考えて決めるか、を書いていきます。私が考えた要素は2つで、(1)キャッシュフロー、(2)株式市場、です。順番に書いていきますね。
(1)キャッシュインの実績を踏まえて、キャッシュアウトの統制をある程度できるかどうか
決算期は財務諸表を決定づけるタイミングであり、やはりキャッシュフローを考える必要があると思います。
例えば、エンドユーザー向けの電機製品を取り扱っているビジネスだとすると、12月のクリスマス商戦の売上がピークに達します。クリスマス商戦の出来次第で、事業計画に対する利益の程度が変わり、それに伴い、キャッシュアウトの統制の仕方も変わります。
1月-12月決算の場合、クリスマス商戦の売上が悪いと、キャッシュアウトを十分に統制できないまま、事業計画に対して大抵利益ショートで着地しますし、逆に、クリスマス商戦の売上が良いと、事業計画に対して利益がアドオンします。
一方、4月-3月決算の場合、1月-3月にキャッシュアウトの統制が可能です。事業計画に対して、クリスマス商戦の結果、利益ショートしそうならば不要不急の支出は控え、利益アドオンしそうならば短期的に可能な投資をするオペレーションを動かせます。
例えば、美容院ビジネスだとすると、新入学や新生活のタイミングである3月の需要が大きく、売上は跳ねます。電機製品ビジネスと同様に、決算期が4月-3月か、1月-12月かでキャッシュアウトの統制ができる範囲が変わります。
ということで、自社のビジネスのキャッシュインの年間の波形がどうなっているか?そして、キャッシュインの波形を踏まえて、キャッシュアウトの統制をどのように実現するか?を考えることで、最適な決算期の候補が出てくると思います。
本来的には、事業であり会社はGoing Concernなので、必要以上に会計年度の利益計画にこだわって、不必要な支出統制をしない方が良いですが、キャッシュインの状況を踏まえながら、会計年度が存在する中でキャッシュアウトの統制を何もしないということもないと思います。
(2)株式上場が視野に入り、基幹システム投資を検討する時が、決算期を考え直すタイミング
もう一つの株式市場は、上場を視野に入れていない限り関係ないですが、一応書いておきます。各社の決算後に、株は大きく売り買いされます。ダウンサイドの会社からアップサイドの会社にお金は移動していきます。株式市場で自社にお金を流入させないならば、そのタイミングに決算をした方が、そうでないタイミングよりも変動金額が大きいことが見込めます。
株式市場だけでなく、大きなトレンドの波がある時に、その波に乗れる取組みをした方が効果は通常時よりも大きいです。例えば、新生活のタイミングに不動産サービスのCMが多いのは、引っ越しをする学生や社会人に自社サービスの利用を促すためにやっています。所謂リフトアップ効果ですが、株式市場にも同様のことが言えます。
決算期のトレンドは国によって異なり、日本だと4月-3月、欧米では1月-12月に決算期がある会社が多いです。株式上場を考えている場合、この決算期のトレンドを加味する「べき」です。
とまでは言いません笑。会社設立時点では、このような考え方も頭に入れておけばよいというレベルだと思います。そもそも上場するかどうかもわからない中、ここまで踏まえて、決算期を決めるのは少しナンセンスだと思います。それよりも、(1)キャッシュフローの考え方のほうが全然重要です。
補足すると、順調に事業が成長し、基幹システムの大きな投資が必要なときに、(2)株式市場への可能性を踏まえて、決算期を考え直しても良いと思います。会社が大きくなると、決算期変更により色々なシステムとデータを変更する必要となり、多大なシステムコストがかかる可能性があるため、それを見越して、決算期を見直す必要があるならば見直しておくと良いと思います。
おまけ:消費税の免税
決算期を決める際にも、消費税の免税の話が良く出ます。資本金が1,000万未満の場合、1期、2期は消費税が免税されるためですが、やはり、(1)キャッシュフローの考え方の方を優先するべきだと思います。
あまりにも1期目の期間が少なく、消費税の対象期間のデルタ(1期目が長いケースとの想定対象金額の違い)が大きくなるならば、少し考えた方が良いですが、数か月くらいの違いならば、そこまで勘案しないで、自分たちが経営しやすい決算期にした方が良いと思います。
決算期に関する私の思考プロセス
ちなみに、私は、1月-12月決算にしました。当面法人向けビジネスをするのですが、その場合の顧客は4月-3月決算期が多いです。その時、顧客のキャッシュアウトの波形として、4Qの1月-3月のキャッシュアウトの金額が大きいです。
多くの会社は、1-3Qは確度の高い計画通りにコスト予算を費消していきますが、確度の低いコスト予算は年度の後半に寄せて積んでいて、官公庁と同様、4Qに利益着地するためのキャッシュアウトが出る会社が多いです。
一方、顧客の4Qは、私たちの会社の1Qです。楽観的に考えると、期初に厚めのキャッシュインが見込める可能性があり、期の後半にキャッシュアウトの統制をすることができる可能性が高まります。
仮に、私たちの会社が、顧客の多くと同様に4月-3月決算にすると、期末にキャッシュインが多く入る可能性が高くなるので、キャッシュアウトの統制ができない可能性が高まります。
そのように、自社と顧客のキャッシュフローを考えて、決算期を決めました。4月に設立したので、消費税の免税外となる期間も約3か月なので許容範囲とし、自分で書いておいてなんですが、株式上場の観点はあまり考えていません笑。長期的にグローバルな株式市場に出れたら良いな、とは思いますが。
おわりに
ということで、少し長めになってしまいましたが(汗、特に、(1)のキャッシュフローの観点は参考にして頂けたらと思います!
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