『保険代理店がIFA業務もやりたい!』どうすればなれるのか?


最近、保険代理店の方から、金融商品仲介業者についての問い合わせを受けることが増えてきた。要は、保険販売に加えてIFAとして、運用商品を提案していきたいという。

先日、大手保険代理店の役員と話をしていると、社内の保険募集人の中には、個別でIFAと契約を結ぶことで、保険は保険代理店の社員として提案し、運用商品は個別で契約したIFA法人の業務委託IFAとして提案しているようだ。
この大手保険代理店においても、以前より、金融商品仲介業者の資格を取得して、希望する社員には、投資商品を販売させるかとの議論もあったらしいが、コンプラ面含めて不明点が多いため計画はストップしているらしい。

また、別の大手保険会社から独立したばかりの代理店経営者は、そもそも、どうすればIFAとして登録できるのか?全く分からない。保険代理店のように簡単に登録できるのか?という問い合わせがあった。

正直、金融商品仲介業のハードルは複数あり、生命保険代理店ほど簡単ではない。
IFAとして活動する為には、大きく2つの要件が必要となる。
1つ目は、金融商品仲介業者として、委託してくれる証券会社(※個人、法人登録可能だが、法人しか受けつけないところも多いようだ)を選定すること。そのうえで、管轄の財務局に申請を行い、登録されることが必要である。
2つ目は、販売する個人全員が日本証券業協会の証券外務員資格に合格すること。資格には1種と2種があり、投信等だけを販売するのであれば2種でよいとも言われているが、証券会社によっては、1種資格を必須としているところもあるようだ。また、試験内容は、保険の一般課程や専門課程などより、少々難しいところは要注意だ。保険代理店の人が油断して受験すると、結構な確率で試験に落ちている。。

保険代理店の場合は、保険会社の承認だけで委託登録できるうえ、複数会社の乗合も比較的簡単だ。いろんな手続きも基本的には保険会社が行ってくれる。
金融商品(IFA)の場合、財務局申請等に関しては、証券会社のサポートがあるとはいえ、自分で行う必要がある。また、最近登録したIFAの方から、登録申請してから、早くて約6か月。遅ければ1年程度の期間がかかると聞いた。ビジネスをやりたいと思ってもすぐに営業開始できないところが、保険代理店とは大きく異なる。ここが最大のハードルと言える。

とはいえ、ハードルはこれだけではない。
証券会社によっては、委託までに、営業開始後の事業計画書の提出、コンプライアンス体制の構築を書面で求めたうえで、複数回の面談により、実務的な疑問点をすべて消化したうえでないと、委託登録には至らないようだ。
正直、保険会社との関係に慣れている保険代理店は、体制整備含めて自社で考えて構築する部分は増えてきたとはいえ、ひな形や参考資料も多数提供されるなど、保険会社は丁寧にサポートしてくれる。
証券会社によっては、この保険文化とは、対照的なところが多く、IFAをやりたいと思っても、結果的に登録を断念している保険代理店も多いと聞く。

この良し悪しはともかくとして、これが理由で断念するのも非常にもったいない気がしてならない。これから保険代理店も、多角的な金融サービス業を目指していかなければならない。
となると、今までのような保険会社のアドバイスのもと営業していくというスタンスから、『独立金融商品提案業』として、経営方針の立案、徹底、戦略的な営業計画、顧客管理、コンプライアンス具体策など、しっかりとしたものを構築できなければ、未来はない。
営業出身者ばかりなので、戦略的なことが苦手でという声も聞くが、ここをやり切れるかどうかが、今後の成長の分岐点のような感がある。

今後、保険代理店経営者が、どんなビジョンを掲げ、何を具体策として進めていくのか?
金融商品仲介業者の資格を取得するということは、顧客に対しての新しい価値提案であり、新しい営業利益確保につながる、保険代理店向きの策だと感じている。

一方で、IFAたちは、保険代理店の登録を促進させている。

顧客に対する保険の必要性と、やはり保険のコミッションを、会社経営上、必要と感じてきているようだ。
早くアクションを起こさないと、IFAの方から、保険分野へどんどん浸食してくるかもしれない。

保険代理店は、次の一手を、早急に打つ時期に来たようだ。




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