企業における採用責任、育成責任とは。最終的には、顧客への責任につながる。

私は、前職において多数(多分数百人レベル)の人員を面接、採用に関わってきた。面接通過の基準は厳しく、10~20人に一人の通過というレベルだったかと思う。

当然、中途採用の際は、即戦力という基準のなかで、具体的にどんな基礎能力を持ち、どんなパフォーマンスを発揮してきたか?

knowledge(知識),skill(技術)の面から確認したが、絶対に譲れなかったのがattitude(態度、姿勢)である。

仕事に対する価値観、顧客に対する提供価値、何を目指しているか?だから何をやるのか?やってきたのか?

業績が素晴らしいといっても、ただ業績という数字だけに興味関心があり、そこを追求してきた人材か?あるいは、自分の理念を持って、誰かに、何かに貢献し、その結果として業績を上げてきたのか?この点は、徹底してヒアリングした。

なぜか?attitudeだけは、入社後に育成するのが困難だからである。

現実的には、数字をあげてきたことだけに、誇りと自信を持っている人材が案外多い。もちろん営業パーソンとしては立派である。だがこういうスタイルの人間は、顧客と長い関係性が築けないことが多い。

いわゆる「焼き畑農業」的に、一度取り切ったら、次の場所に移って取っていくというスタイル。それよりも、一度、関係性を築いたら、継続して、その場所に貢献して、長い商売を続けていくスタイルの方が、本人も顧客も幸せなことが多い。

そのためには、『顧客に貢献する』というキーワードを持ち、業績をあげて来た人材だけを、即戦力と考えてきた。

しかし、企業にとっては、本来、ここからが本番である。

即戦力人材を採用して、さらなるキャリアアップ、能力向上のために、十分な教育の機会を与えていく事が重要である。

なぜか?即戦力人材をどんどん採用して、キャリアアップの機会、教育の機会を与えないということは、「焼き畑的農業」採用と同じこと。即戦力をどんどん採用するが、数年でほとんどが辞めていく企業もあると聞く。

社員を育て、能力を向上させてこそ、顧客に対するサービスもどんどん高度になってくる。そこに、顧客と、社員と、企業のWIN=WIN=WINが生まれるのだ。

一度社員を採用したら、「あとは自分の経験で自由に頑張ってください」、というのは、採用した企業として非常に無責任であり、顧客に対しても企業責任を放棄していることと同じである。

いい人を採用して、いい教育を施して、いいサービスを提供する。それはすべて顧客のためである。今後持続的に成長していくのは、こういう企業であると確信している。

私自身、別会社において、人材紹介業務を行っている。

昨年末、ガイアというIFA企業の中桐社長と対談を行った。対談をしていて、特に気が合ったのは、採用と育成に対して、一貫してこだわる姿勢である。

顧客が継続取引したいと思う企業には何が必要か?多少のヒントがここにもあると感じている。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?