「ブルターニュの光と風」展(SOMPO美術館)
ゴールデンウイーク後半初日の5月3日、新宿のSOMPO美術館に行って「ブルターニュの光と風」展(2023年3月25日~6月11日)を見てきた。
https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2022/bretagne2023/
現在、東京ではブルターニュをテーマにした美術展が二つ開かれている。もう一つは、上野の西洋美術館で開催中の「憧憬の地 ブルターニュ」展(2023年3月18日~6月11日)である。会期もほぼ重なっていて、どちらにしようか迷った。ついでに百貨店で買いものをしたかったので、家から近い新宿を行き先にした。
「ブルターニュの光と風」展では、ブルターニュ地方西端に位置するカンペール(Quimper)の美術館が所蔵する作品を中心に、約70点の絵画が出品されている。初めてフランスを周遊したときにカンペールにも立ち寄ったが、そして現地在住の画家に声をかけられるという珍しい経験もしたが、美術館には行かなかった。カンペール美術館は、1864年に亡くなったシルギー伯爵(comte Silguy)から遺贈されたコレクションに端を発する。当初はブルターニュ美術を意識したコレクションではなかったが、次第にこの方面に力を入れるようになった。現在の美術館は1993年に改装されたものらしいので、私がカンペールを訪れた1989年とは様子が違っているのだろう。
展覧会は三章構成になっていて、美術館の五階から一つずつフロアを降りながら辿るようになっている。第一章「ブルターニュの風景 ― 豊饒な海と大地」では、フランスの他の地域とは異なる景観に注目が集まった19世紀の風景画がずらっと並ぶ。大型作品が多い。第二章「ブルターニュに集う画家たち ― 印象派からナビ派へ」では、ブルターニュと縁の深い何人かの画家に注目し、流派の変遷を辿れるようにしている。第三章「新たな眼差し ― 多様な表現の探求」では、時期的には20世紀の作品の比率が高まり、特定の流派の枠に収まらない作品群を見ることができる。
誰もが知っている名画があるというわけではないが、ブルターニュの自然や暮らしが垣間見えるという意味で、佳品が揃っていると思う。個人的には、第一章の風景画を興味深く見た。荒々しい海の景色が大きなカンヴァスに描かれていると、やはり迫力があってよい。
作品のタイトルにふだんはあまり見かけないフランス語の単語が使われているのも、フランス語教師の目からすると注意を引かれた。これについては、稿を改めて記すことにする。
展示作品の多くは、写真撮影が認められている。私は自宅にスマホを忘れてきたので、一枚も撮れなかった(苦笑)。
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