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VC長野トライデンツ2019-2020シーズン報告会及び記者会見

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2020年3月19日、長野県南箕輪村に於いて、男子バレボールV1リーグに所属するチーム・VC長野トライデンツの2019-2020シーズン報告会及び記者会見行われました。
取材にあたり、その内容の一部を掲載します。​

挨拶

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長田主将:本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
まずシーズンを通して、昨シーズンよりも成長した場面を試合を通して見られたのかなと思います。最終的には10位という結果でしたが、戦いの中で上位のチームとも良い試合ができていたので、昨シーズンよりも成長できたのかなと思います。

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アーマツ監督:今シーズンは結果的には私たちの思った通りのものではなかったけども、成長した部分もありました。足りない部分もありましたが、シーズンを通してしっかり修正することろを修正して、去年より良い結果を残せたと思います。

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笹川GM:まず初めにこの会見開催にあたりシーズン報告、および入れ替え戦中止の件について皆様からいろいろコメント等を求められました。
異例の入れ替え戦中止となり、相手チームの気持ちも考えると団体としてコメントするというのがとても難しく、本来15日に行われるはずだった入れ替え戦の日程の後に会見という形で入れ替え戦中止に伴うお話しをさせていただきたいと思います。

まず今シーズンを終えてですが、私は今シーズンから監督からGM(ジェネラルマネージャー)という立場になり、現場からは離れ、運営の立場として関わることになりました。運営面では、動員数が予想を上回る人数が入り、興行収益としてもとて非常に良かったシーズンとなりました。※1
VC長野は企業が所有するチームではなく、地域やスポンサー等の支援で成り立っているクラブチームなので、スポンサーと興行収益という部分が柱となり、こういった部分では非常に成功したシーズンだったとトータルとして思います。
その中で現場サイドへは、フロント業務の面として強化資金や練習環境の整備などを行うなど、フロントがもっとしっかりしなければV1リーグでは成績を上げることは厳しいと痛感しました。
10チーム中唯一の地域密着型のクラブチームとして地方のクラブが戦いましたが、力の部分では大手企業のチームにじゅうぶん追いついている部分もあると思いますし、もっともっとキャリアを積めば勝つ姿をより多く見られる日もそう遠くないと、外から見る立場として見て全選手の成長を感じました。
私はGMという立場として、監督や選手が勝つためにやりやすい環境の提供が強化につながると強く思っているので、来期はそういった部分でサポートできるようにしっかり動いていきたいし、来シーズンは今シーズンよりも勝って、もっと地域との関りも強く太くできるシーズンにしていければと思っています。
※1.Vリーグではホームゲームでの観客動員(チケット販売)がチームの収益となります。

Q:入れ替え戦中止に対しての受け止めと、中止に伴ってV1に残留した、この2点の受け止めは?

笹川:Vリーグ機構から3/6(金)に電話があり、体育館が大阪という場所的に(感染症患者が不特定多数の人と接触しているニュースもあり)厳しいので、場所を大阪から兵庫に変更し、スケジュールを1日前倒しにしての開催に変更が対応できるかと相談がありました。
私たちVC長野は企業のチームではなく、選手それぞれが色々な職場でフルタイムで働きながら戦っています。その中、1週間を切った状態で日程変更は職場の休暇等の問題もあって現実的に難しい。私たちとしても堺の体育館で14~15日の日程、試合時間で戦うことを前提に準備をしていたので、1日早まるということに対して受け入れることはできないと返答をしました。
その後、機構と北海道とも話があっただろう上で機構から中止の連絡がありました。
GMという立場としてはメンバーを守る立場なので選手への感染ということがとても怖かったし、場所が大阪、相手は北海道※2のチームということもあって、万が一を考えると無観客試合だとしても不安がありました。正直なところ、中止になって選手への感染を防ぐという面ではほっとした部分はあります。
ただ入れ替え戦というものは決して簡単なものではなく、Vリーグファイナル戦と同じくらい重要な試合です。相手チームも昇格を狙ってくるし、私たちもV1残留するべく命がけで練習に励み、プレッシャーの強い3週間を過ごしてきたので正直複雑な気持ちです。
金曜日の夜に選手たちに中止と伝えたところ、ほっとした表情の選手はいなくて、選手たちは勝つ気で3週間練習をして、選手によってはリーグ中よりも調整ができている選手もいました。選手にとっても戦ってちゃんと勝ってV1に残留したいという思いがあります。
GMの立場からすると感染の恐れという面からはほっとした結果ではありますが、歯切れの悪い、すっきりしない結果になりました。

※2.北海道では2020.2月中旬より感染症患者が多数発生し、2/28には北海道知事により感染拡大を防ぐため、2/28~3/19の3週間外出を控える旨の緊急事態宣言が出された。

監督:入れ替え戦に向けてしっかり準備して、ちゃんと勝って絶対にⅤ1に残ると選手たちとも約束をしていたし自信も持っていました。メンタル面、フィジカル面、技術面も入れ替え戦に向けて準備を進めていました。
個人的には日程が14~15日のままだったら絶対に試合に出ていたと思います。
ただたとえ1%でも、例えば選手の誰かがウィルスに感染したとする。私たちVC長野は自分たち専用の体育館を持っていないですし、メンバーは他のチームと違って仕事もしています。その状況で感染してしまったら最低でも1~2か月は何もできない。感染してしまったらチームも個人も信用されなくなる、仕事もできなくなる、体育館やジムにも行けない。感染するとチームも選手も非常に困る状況になります。

でもこの話は選手にも1回も言ってはいません。
たとえどんな状況でも堺に行って試合をして、戦って帰ろうと話をしていました。

長田:入れ替え戦が決定してから、次の日か入れ替え戦に向けて一人一人練習に励んでいました。あとはやるだけというところになって中止の連絡。チームとしても準備ができている状態でした。ほっといする選手なんて一人もいないし、自力で勝って残留ということが来シーズンの力になっただろうという部分もあったので、何もしないでV1に残ったということは、もやもやする結果です。

Q:今シーズンの手ごたえと課題

監督:意識してたことは体づくりと自分を信じる事。経験的なことは去年よりも積みました。
私たちがVリーグに入った時、今年、来年、3年目~の流れを作ろうと話をしました。1年目は経験を積むシーズン。たとえ負けてもそれも経験、負けた時にどう切り替えて考えるかが大切です。
今シーズンは3勝しましたが、選手が1REG※3から3REGの気持ちで挑めていればもっと勝てたと思います。
※3.レギュラーラウンドの略称。V1男子では総当たり戦を3回行い、総当たり戦1回目を1reg、2回目を2reg、3回目を3regと呼ぶ。ピンとこない人は3学期制度と思えばいいと思います。

長田:去年はV1初参戦でいろいろ試して経験を積む年でした。今シーズンは経験を試して落ち着いてプレイできたのではないかと思います。主将としてチームを見る中で、そういった部分で経験が今回の+2勝に繋がったと思います。
勝利数もそうだけども、各試合のスコアを見れば競っている試合が増えています。
ただ自分たちが成長する分、他のチームも強くなっているので、経験値を上げて勝負どころのメンタル面の強化を図るということが、今シーズンの課題だったと思います。

Q:GMとなって、外からの目線で見てよかったところや気になったところは?

笹川:練習を見ていく中で、1シーズン目はどちらかというと監督や選手の経験というところだったものが、シーズンを終えて、ある程度のキャリアと経験を積んで課題点がきちんと見えてきました。昨シーズンと比べ、今シーズンは「勝つ」という前提で練習に取り組めていたことが2部にいたころとは違います。必然的に選手の意識が上がり、今シーズンの試合展開に持ち込めたことが大きな成長です。
試合が終わった後も、昨シーズンは負けても結果に雰囲気的に満足していたものが、負けた時点で相手が誰であれ悔しがる選手が増え、勝ちにこだわるようになったところが今シーズンの成長だと思います。

Q:動員数をどのように選手に還元する・しているのか?

笹川:昨年に比べ、スポンサー収入が5000万だったところが5600万に増え、興行収益も倍近くに上がりました。V1に上がってコンディショニングを気にするようになり、サプリやプロテインなど、選手へ「戦う体づくり」をフォローするようになりました。まずは戦う体、シーズンを通してパフォーマンスを落とさない体作りのために、まずはできるところから運営として選手に還元しています。
次に向けてサーブマシンを入れたいという監督の意見もあります。時勢柄、正直なところスポンサーもどれだけ集まるか難しいところですが、勝つための道具や環境を整えるために資金を提供したいと考えています。

Q:今シーズンのベストゲームは?

監督:VC長野1勝目のFC東京戦。Ⅴリーグの歴史あるチームに勝てました。すべてにおいて調子もよかったし選手のモチベーションも上がりました。

長田:監督と同じく1勝目のFC東京戦。負けが続いてる中での大きな1勝目でした。選手ひとりひとりの自信につながる試合でした。
そのあと負けが続きましたが、サーブやスパイク、ブロックなど、1プレー1プレーを大切に試合をするきっかけの試合だったと思います。

Q:VC長野として、来シーズンの目標は?

監督:今年はもっと勝てる可能性があります。まずは6~8勝を目指したい。

Q:内定選手5人獲得したが、それぞれの特徴は?

笹川:監督と話をした中で、ポジション的にはMB(ミドルブロッカー)の補強というのが絶対条件でした。MB機動力があり器用な選手で高さのある、中村選手と波佐間選手を獲得できました。
波佐間選手は国体で石川代表として出ていて、監督と試合を観て一昨年くらいから声をかけていました。身長は183ほどですが、ブロックの形がよく、OP(オポジット)やS(セッター)もできるユーティリティプレイヤーとして期待しています。
中村選手はスパイクのコースの幅の広さと高さがある選手です。まだ教わっていないことが多くて、身長を生かしたブロックをしてくれると期待しています。VC長野の高さ不足が解消につながると思っています。
Sの河東選手は日体大で1年からレギュラーで活躍しているキャリアのある選手です。チームにキャリアのある選手が入ることで、チーム内の意識を高めあう選手になるのではと思っています。
OH(アウトサイドヒッター)の伊藤選手はOPとしてインカレまでいったチームのエース。身長が188で、多分一番レシーブがうまい選手。池田選手の裏(ディフェンス)をやれる選手として期待しています。
L(リベロ)の角選手は地元松本国際高校のバレー部でキャプテンを務めた選手。非常にキャプテンシーが高いです。リベロはレシーブだけではなくSとのコミュニケーションやゲームコントロールが必要なポジションですが、その能力がとても高い選手です。

今年は言った5名の選手はVC長野がV1に入ったからこそ獲得できた選手だし、例年になくレベルの高い選手が入ったと思います。

Q:来シーズンの抱負を教えてください

長田:入れ替え戦に回らないこと。今年もファイナル5を目指してチーム一丸となって頑張りたい。
個人的な目標としては、去年からキャプテンという立場になりました。自分だけではなく周りのことも見て、監督や選手とコミュニケーションを取って、選手の状態など良い雰囲気でチームが開幕戦に臨めるように支えていきたいと思います。
自分がやっていく中で、目標のファイナル5に残るためにはメンタル面がまだ弱いと感じています。ほかのチームに比べて若手が多く経験が足りていません。経験も体もも急に成長はできませんが、1番はメンタル面。押されてるシーンでも状況を切り開く選手が出てくれば来シーズンはもっと結果を残せるかなと思いますし、そういった面でも強くなりたいと思います。

Q:来シーズンに向けた新体制はいつ決まりますか?

笹川:入れ替え戦が中止になった時点から全選手と面談を終わらせています。3月28日に予定しているスタートミーティングが終わり次第、新体制・スローガン・コンセプトを発表する予定です。
また今後さらに新規選手の獲得も考えています。欲を言えば昨シーズン活躍した、長野県出身の選手も獲得したい。
あと現在は普段の練習を監督一人でみているので、コーチやスタッフの補強も考えていきたいと思っています。

会見後に笹川GMに取材させていただきました。

Q:入れ替え戦中止に伴う炎上騒ぎについて※
笹川:入れ替え戦中止が発表され、炎上騒ぎとなった経緯で、まず選手にはSNSでの発信の自粛をさせました。選手やチームが発信をしなくなった結果、VC長野のHP経由で「逃げるな」「なんで試合をしない」といった匿名のメールが多く届いているのは事実です。
今回の炎上騒ぎの件については、あくまでも社会的なルールに則って今日のこの会見の場を迎えるまでは一切の発信は行わないと決めていました。
※Vリーグ機構による入れ替え戦中止の決定により、SNSをはじめ、一部のバレーボールファンによる炎上が発生した。

Q:もしも逆の立場だったらどうしていましたか?
笹川:もし逆の立場だった場合ももちろん考えました。状況も状況だし、GMとして、選手の安全保障を最優先で考えなければなりません。
VC長野はゼロから始めたチームなので、どうしようもないことはどうしようもないと経験上知っているし、きちんと飲み込もうとすると思います。


会見後の取材で、今回の入れ替え戦にあたって選手への感染ということだけが本当に不安だったとコメントした笹川GM。

入れ替え戦自体を感染症が落ち着くであろう4月以降に延期する方法はないのかという意見もあるが、バレー界における選手契約のほとんどが3月末までの年度制を採っており、4月以降の試合では2019-2020シーズンのベストメンバーでの試合ができないことも当然ありうる。

シーズンのベストメンバーでないチームと戦って、それは「勝利」と言っていいのか。

世界中に蔓延する感染症。
この非常事態において起こった今回の炎上騒ぎは、今1番、何を大切にするべきかを非常に考えさせられた。

|ョ・ω・`)
|ミ サッ
|ω・`)チラッ
<ワテクシ3号さん、いつもは頭のゆるーい小3男子的なツイートをしているよ!
おいでよ美ヶ原(は、バレーボール界を応援しています)

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