NiSi Allure Soft を買おうかどうか迷っている方へ
みなさん、こんばんわ! コハラタケルです。
いつもは日記を書いているのですが、今回は番外編。NiSi Allure Soft を買おうかどうか迷っている方へ向けて記事を書きました。
「NiSi Allure Softって何?」
という方は、是非一度、こちらをご覧ください。
目次で作例を選んでいただければ僕の作例を見ることができますので、作例を見たい人は先にそちらをご覧いただいても問題ありません。
また当記事はあくまで僕が使ってみた感覚です。人によってはAllure Softを使ってみて別の感想を抱く人もいるでしょう。僕個人の意見だということを予めご了承ください。
自分が求める最終形によって使用するか否か決まる
では、早速始めましょう。
改めまして今回、使用したフィルターがこちらです!
NiSi Allure Soft (67mm)
今回、使用レンズが フジノンレンズ GF63mmF2.8 R WR のため、62mm → 67mm のステップアップリングも使用しております。
よく訊かれるのが、
「ソフトフィルターを使ったほうがいいんでしょうか?」
という質問です。
この気持ち、すごくわかります。僕も写真を始めたての頃だったら同じ質問をしていたでしょう。
ただし、今の僕だったらこのように答えます。
「使っても使わなくてもどちらでも大丈夫です」
そうなんです。どちらでも良いんです。
例えば、これがレンズの場合。撮影にレンズは最低限必要なものですから、開放のときのボケ量や絞ったときのシャープさなどの描写含め、1本のレンズでどのようなことができるのか気になる人も多いでしょう。
しかし、今回ご紹介しているようなソフトフィルターは絶対、撮影に必要なわけではありません。付けなかったら撮影できないというものではありませんよね。
結局のところ自分が求める最終形の写真がどのようなものにしたいのかによって変わります。だから使っても使わなくても、どちらでも良いのです。
まずはこの部分を理解した上で続きの話を聞いてください。
ここから先の話はNiSi Allure Softを使った作例とともに、僕がどういう意図があって使用しているのかについて話していきます。
撮影機材・環境について
まずは撮影場所をご覧ください。
照明機材が見えますが、今回、自然光でしか撮影しておりません。
ちょうどスタジオの半分ぐらい陽の光が入ってきている状態ですね。
ただ、直射ではなく、撮影場所の1枚目を見て分かる通り、ガラス一枚挟んだ光のため、直射よりも少しだけやわらかい光となっています。
以下、使用機材および状況を説明します。
【カメラ・レンズ・フィルター】
・FUJIFILM GFX 50R
・FUJIFILM GF63mmF2.8 R WR
・NiSi Allure Soft
【時期・時間帯・環境】
・1月
・13:30 〜 15:30
・自然光のみ
【model】
ひかり
逆光時の効果について
NiSi Allure Softに限らず、ソフトフィルターを使用した際、効果を強く感じることができるシチュエーションのひとつが逆光時の撮影です。
【NiSi Allure Soft なし】
【NiSi Allure Soft あり】
SS 1/60
F 5.6
ISO 160
※1・2枚目同様の設定、同様の編集
注意書きにも書いている通り、もちろん同じ設定・同じ編集なのですが、随分と見え方が変わります。以下、ポイントをまとめました。
・ハイライト部分の滲み(にじみ)
・コントラストがやわらかくなる
・シャープさの軽減
ここで NiSi Allure Soft の商品説明文を確認してみましょう。
【NiSi Allure Soft (アルーアソフト)は光を拡散させることでグロー効果を演出し、被写体を柔らかい雰囲気に描写することができます。
星のような点光源からの光をにじませ、大きく見せることができます。強い光ほど大きくにじみ、グロー効果が大きくなります。】
※参照 https://nisifilters.jp/product/allure-soft/
「ぐ、グロー効果? ってなんだ……」
と、思った人もいるでしょう。簡単に解説します。
グロー効果とはイラストの仕上げでも使われる手法で、まるで光を放っているような雰囲気になる効果のことです。
今回の写真でいうと……
このあたりがもっとも強く演出されてますね。
僕が最初に言ったハイライト部分の滲み(にじみ) も光と髪の毛の境目を見るとよくわかります。
先ほどの説明文ではグロー効果についての解説が中心となっていますが、ほかにも重要な効果があります。
それが コントラストがやわらかくなる です。
写真をご覧ください。
【NiSi Allure Soft なし】
【NiSi Allure Soft あり】
モデルさんの右腕のうしろ部分にある洋服の色に注目してください。
ブラウンのワンピースなのですが、色の出方に違いがあるのがわかります。
フィルターなしのほうがブラウンの色が強いですよね。
編集画面の数値を見ていただけると分かるようにカメラの設定も編集も方法も同じにしています。しかし、フィルターの有無で色の出方が変わります。
最初にコントラストがやわらかいと書きましたが、ここで僕が言っているコントラストがやわらかくなるというのは、コントラストが低くなるという意味合いです。Lightroomで説明すると、マイナス側に数値を振った状態のことを指します。
試しにフィルターなしの写真のコントラストを低く(+9 → −50)してみました。
どうでしょうか? 是非、見比べてみて欲しいのですが、フィルターありの状態の色合いに近づいたのではないかと思います。
このように NiSi Allure Soft は付けることでコントラストをやわらかくすることが可能です……
が!!
ここで終わってしまうと語弊がありますので、なんとか中盤まで読んで欲しいです。
一旦ここではシャープさについて話していきます。
フィルターの説明文にあるように「被写体を柔らかい雰囲気に描写する」と書いてありますので、当然、シャープさもフィルターありの場合はやわらかくなります。
モデルさんの入れ墨の部分を拡大してみました。
【NiSi Allure Soft なし】
【NiSi Allure Soft あり】
入れ墨のディテールの見え方が違いますね。
ただし、シャープさに関してもここまでの説明だと、語弊があるため後半部分に追加で解説しています。そちらも合わせてご覧ください。
まずはもう一度、3つのポイントをおさらいしましょう。
・ハイライト部分の滲み(にじみ)
・コントラストがやわらかくなる
・シャープさの軽減
僕も昔は逆光時のソフトフィルターを使った描写が新鮮で「おおーっ!」と興奮しながら多用していましたが、今ではほとんど使いません。
もちろんこの描写が悪いというわけではなく、最初に話した通り、自分が求める"絵"がどういうものなのかによって使い分けることが大切だと考えています。
順光写真のシャープさとコントラストをやわらげたい
今回、使っているカメラがFUJIFILMのGFX50Rという中判デジタルカメラなのですが、人物を撮影する際、シャープすぎると感じるときがあります。
とくに順光かつ硬い光で撮影する場合はコントラストも含め、描写が硬くなりすぎることがあるため、僕は「順光 × Allure Soft 」 の組み合わせで使用することが多いです。サイド光もおすすめですよ。
【NiSi Allure Soft なし】
【NiSi Allure Soft あり】
<1・2枚目ともに>
SS 1/60
F 5.6
ISO 320
【NiSi Allure Soft なし】
【NiSi Allure Soft あり】
<1・2枚目ともに>
SS 1/60
F 5.6
ISO 50
どうでしょうか? フィルターありのほうがやわらかい描写になっています。
さて、ここで「あれ?」と思った人がいると思います。
そうなんです。コントラストに大きな差がありません。もしよろしければもう一度、上に戻って見ていただけると嬉しいです。
「コントラストやわらかくなるって言ったじゃないか!」と怒る人がいるかもしれませんが、コントラストがもっともやわらかくなるのは逆光時での撮影だと思います。
今回掲載している写真のように順光で撮影した際はグロー効果を演出しつつも、コントラストをある程度、維持した状態で仕上げることが可能です。
そもそもこのAllure Softはソフトフィルターにも関わらず、コントラストを保ってくれるのが特徴のひとつであり、僕が好きな理由のひとつです。
昔、使っていたブラックミストなどのソフトフィルターは、グロー効果はいいのだけれど、全体的に淡くなりすぎてしまって絵的にしまりがないなという印象でした。僕が徐々に使わなくなった原因のひとつです。
下記の写真は別のロケーションでの写真です。
SS 1/500
F 5.6
ISO 50
こちらの写真はスタジオではなく外です。
撮影は秋頃だったので、夏に比べれば日差しは弱いものの、硬い光かつ直射で撮影しています。
Allure Softのようなソフトフィルターを付けずに撮影すると、コントラストや影も強く出過ぎて、くっきりとした写真になりがちですが、グロー効果も相まって繊細かつやわらかい描写になっています。
このときもフィルターなしでファインダーを覗いたときに「(表現が)硬すぎるかもな……」と思い、Allure Softを使用しました。
ただし、Allure Softを使用してもシャープさはある程度、維持してくれます。
「え、これも最初に言ってることと違うじゃん!」
と思った人がいるでしょう。
そうです。僕は3つのポイントのひとつに「シャープさの軽減」と言いました。これは正確にいうと
「ピント面はシャープさをある程度、保っているものの、光の滲みによってやわらかい演出に見える。だから全体で見るとシャープさが軽減されているように見える」
です。
先ほどの写真をトリミングして、もっと寄ってみました。
この通り髪の毛、一本一本がわかるぐらいシャープさは維持しています。(※もちろん、フィルターを付けていないほうがもっとシャープです)
しかし、胸元のスカーフの部分や顔全体に当たっている光に滲みがあるために全体的にはやわらかい描写になります。
あくまで光の滲みやコントラストがやわらかくなることによって、全体で見るとシャープさが軽減しているように見えるだけであり、実際はシャープさを保ってくれます。これも僕が好きなポイントのひとつ。
これまでのソフトフィルターは「高いグロー効果・コントラストが低くなりやすい・シャープさが維持できない」という部分が長所でもあり、僕みたいに徐々に使わなくなってしまった原因の人もいるかと思います。
シャープさとコントラストの維持に関しては、写真を見てもらって判断してもらうしかないかなと思っています。だから"ある程度"という言葉を使っています。
ほかの写真も見ていきましょう。
さきほどの写真の背後には木漏れ日もあり、引きで撮るとこうなります。
FUJIFILM xpro3 and XF23mm F1.4R
SS 1/250
F 5.6
ISO 160
こちらの写真のほうがグロー効果がわかりやすいですね。
ちなみにこの写真と次の写真は FUJIFILM xpro3 and XF23mm F1.4R の組み合わせで撮影しています。
木漏れ日での撮影は季節や時間帯によっては輝度差が激しく、難しいこともよくあります。
僕も「あっ! 木漏れ日綺麗!」と思って撮影を開始したものの、難しくて断念することもあります。
そのようなときも Allure Soft のようなソフトフィルターを使うと、やわらかい演出になるため、輝度差が激しい状況でも撮影することができます。
ちなみに同じ日、同じ時間帯でフィルターなしで撮影するとこのような感じでした。
もちろん編集で調整することは可能ですが、できれば現場で完成形に近い状態で撮影しておきたいので、直射かつ順光でありつつも、やわらかい演出にしたい場合はAllure Soft を使います。
このときはヒビが入っている壁の硬質感をしっかり出したかったので、フィルターは使用しませんでした。
このように僕の場合は逆光ではなく「順光 × Allure Soft」で使用することが多く、演出・描写含め、僕が好きな感じに仕上がります。
もちろん逆光での撮影が悪いわけではありません。
例えば、花(使用している花はかすみ草)を逆光で撮影すると、グロー効果も相まってやわらかい演出で撮影できるため、写真のような幻想的な雰囲気で撮影することが可能です。
SS 1/125
F 2.8
ISO 50
人物もふんわりとした演出で撮ることができます。
SS 1/60
F 5.6
ISO 1000
こういう寄りの写真、好きな人もいると思うんですよね。
何度もいうように使うか使わないかは好みでしかないと思います。
「なんて無責任な! そこは導いてくれよ!!」と思う人もいるかもしれませんが、人の好みは変えようがないと思うんです。
例えば、とんこつラーメンが一番好きな人に「塩! 塩ラーメンが一番うまいから、食べてみ!!」と熱弁しても仕方ないじゃないですか。とんこつ好きなんですもん。
フィルターも同じです。使わなければいけないルールなんてありません。
自分が求める演出・描写がフィルターありなのであれば使いましょう。
興味本意で使ってみるのも良いですし、好きなフォトグラファーが使っていたから買ってみたでも良いと思います。
以下、NiSi Allure Soft を使った作例を載せていますので、参考になれば幸いです。
作例
軽くて小さくてかさばらない。持ち運び便利でいろんな表現が楽しめる
ここまでいろいろと話してきましたが、結論としては持っていて損はしないと思います。
実際、僕はフィルターに関しては撮影の際、ほとんどの場合において持っていきます。
プラスでレンズを一本持ち運ぶのに比べたら、フィルターを5〜6個持っていくのなんてお安い御用。
"軽くて小さくてかさばらない。にも関わらずいろんな表現が楽しめる"のがフィルターのもっとも良い部分だと思います。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。
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