【江戸うんすん】安永ルール大田南畝『半日閑話』より(1773)
我々の知っている所謂トランプは、オランダからやってきたものがベースとなっており、ご存じのとおり「4スート×13ランク=52枚」である。
しかしそれより前、種子島に火縄銃やキリスト教徒と一緒に渡ってきたのがポルトガルのプレイングカードであり、「南蛮かるた」と呼ばれていた。これが日本で複製されると、その年号から「天正かるた」と呼ばれ、やがてその図像が簡略されて「めくりふだ」となった。
天正かるた系は「4スート×12ランク=48枚」であり、10のランクの4枚がない。またエース(1)の札に、ドラゴンが描かれてるのが特徴である。
この天正かるたを元にして、より多人数で遊べるようにと開発された発展形が、日本独自の「うんすんかるた」であり、江戸時代には大いに流行ったという。「5スート×15ランク=75枚」
現在では、九州の熊本県人吉市など一部の地方でしか遊ばれていないが、いずれにせよその基本技法はトリックテイキングである。人吉の技法は「八人メリ」と呼ばれ、4人vs4人の団体戦である。
一方、明和(1764~71)頃の江戸の市井の見聞雑事を記した大田南畝の『半日閑話』には、個人戦のルールが掲載されている。今回はこの資料を翻訳し、当時の「うんすんかるた」の技法に迫ってみたい。
ここから先は
11,925字
/
19画像
7人以上のライターが月に1本以上、書いています。是非、チェックしてください。
アナログゲームマガジン
¥500 / 月
初月無料
あなたの世界を広げる『アナログゲームマガジン』は月額500円(初月無料)のサブスクリプション型ウェブマガジンです。 ボードゲーム、マーダー…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?