イラストレーターがアップリケのメーカーになるまでのこと ②
こんにちは。
イラストレーターのトヨクラです。
前回の記事、お読みいただきありがとうございます。
さて本題の続き。
量産する方法ができ、体制も整いコースター2000個を製造することができました。
デザイン、製造ときて、今度は流通です。
よくデザイナーにお願いして、かっこよくて良い商品ができたのに、ぜんぜん売れなかったという話を聞きます。
これはデザイナー自身が流通のプロではなく、製造までの過程しか見ていなく、売るのはクライアントにお任せという場合が多いためだと思います。
最近は流通までしっかりと見据えたデザイナーさんも多いですが、デザイナーさん自身が自社商品を持って流通させているものがある場合でないとなかなか難しいと思います。
コースターが2種類できた僕ですが、商品を売るために、まずはブランド名を決めなければなりません。
実は専門学校の時に同級生3人でRe:VERSEというユニットを作って雑貨の活動をしていました。卒業後半年ほどで解散してしまいましたが、その後も一人でイラストレーションの仕事をするときの屋号もRe:VERSEを使っていたので、そのままRe:VERSE PRODUCTSとしました。
Re:VERSEにした由来はここでは省きますが、専門学校時代にじっくり考えたもので今でも気に入っています。
少し話が脱線しますが、このRe:VERSEのダブルコロン、意味を込めて使っているのですが、これが事業として登録する際、使えない記号ということで登記上や百貨店などとの口座開設の際にはRe VERSEとなったりしています。
(今後メーカーとしてブランド名や屋号を決める際には、こういった登録できない記号を使っていないかもチェックしたほうが良さそうです)
話戻って、コースターという商品ができて、ブランド名を決めてさて流通だと意気込みましたが、ふと手元を見ると、商品は山盛りできたけど、種類は2つだけ。
ブランドとして打ち出すのに、世界観は必須だと考えていましたので、もう少しアイテム数を増やさなければとすぐに次のアイテム作りに取り掛かりました。
フェルトを使ったアイテムで、自分のイラストレーションのキャラクターで遊べるもの、しかも日常で使えるもの。
そこでひらめいたのが、フェルトのマグネットです。
バリエーションを作れば、組み合わせたりして冷蔵庫に貼って遊んだり楽しいのではと思いました。
早速、マグネットに関して調べ、強力な両面テープ付きのマグネットシートを探し当てました。
まずはサンプルとして、赤ずきんのモデルで型と拔き賃の見積もりをとります。
型代金は高額で、数が多ければ多いほど金額が上がるので、できるだけ型数は少なくて、でも出来上がりは良いデザインのものというバランスを考えて作ります。
見積もりを取る際、フェルトの厚み、メーカー、品番を指定します。
フェルトの色に関しては特にこだわりが強いため、2社のフェルトメーカーから選んで使用しています。
そしてロット1000個という数でフェルトを抜いてもらい、事務所にどさっと抜かれたパーツが届きます。
写真はマグネットを抜いてもらったものです。
これでコースターと同じようにシリコンゴムの制作シートにパズルのように組み合わせて、最後にマグネットを裏から貼り付けて、できあがったのがこちらです。
隙間もなく、綺麗にできあがったし、しっかり磁力もあって、よしこれでいけると思いながら透明のOPP袋にパッケージします。そして店頭で販売するときにイメージしていたアクリルケースにパッケージした商品を並べてみました。
なんか違う。。。
マグネットの黒い部分が鮮やかなはずのフェルトに少し影を落としている気が。。。
(表から見ても少し黒が透けているような)
いやほんの少しなんです。比べないとわからないレベルです。
でも一度気になるともうダメで、黒くないマグネットも探しましたが、両面、さらに断面も白いものは見つからず、結局マグネットという選択肢をやめることにしました。
これは作家としての色へのこだわりが強すぎたために起きた方向転換でした。
そこで代替案として生まれたのが、以前手作りしたことがあったアップリケです。
アイロン接着するための裏に貼りつける接着フィルムは透明なので、フェルトの色には影響なく、フェルトのキレイな発色が保たれるので色の問題は即解決です。
そんな色に対する強いこだわりから、文具玩具のマグネットから手芸用品であるアップリケの製造変更に踏み切ったのでした。
そしてデザイン案も色々考え、工場に発注して第2弾となるアイテム、アップリケ12種類が誕生しました。
商品の数も多くなり世界観も伝えれるようになったので、次は商品カタログをつくり、お店に売り込み開始です。
つづく。