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霊感が目覚めた日。〜女性からのお礼〜(中編)

「いる。。。」

何かが僕を見ている。

実家は一軒家で2階建。吹抜けの造りなので1階から2階の様子がある程度見ることができる。そして僕の部屋は階段を登ったすぐ右手。吹抜けの造り的に1階のリビングから僕の部屋の入り口のドアを見上げることができた。

目が覚めた僕は部屋の隅に置かれたベットに壁側に向かって蹲るように寝ていた。なので部屋全体には背を向けている状態だ。気付くことに少し遅れたが、金縛りにあっていて動けないし声も出ない。

2階の部屋で壁を見ている状態でも分かる、ただならぬ視線。“それ”は1階のリビングから2階の僕の部屋を見上げている。じぃーっと。

背中に恐怖がジリジリと走る。すると、

1歩、2歩、3歩、、、
と、“それ”が動き始める。

まさか、と思ったがやはりそうだ。僕の部屋に向かってきている。階段もゆっくりゆっくり登ってくる。1段1段と言うよりは、1段ずつ一度両足を揃えてゆっくり登っている感覚。

金縛りで体は動かず声も出ない状況。迫ってくる“それ”にベットの中でただ怯えるしかなかった。そして“それ”は僕の部屋の目の前に到着する。

「頼む、どっか行ってくれ、、、頼む、」

そんな思いも叶わず“それ”が僕の部屋に入ってきた。1歩ずつ近づいてくる“それ”はいよいよ僕の寝ているベットの真横に来てしまった。

壁を向いて蹲っている状態だが、背中越しに“それ”がすぐ後ろにいることがハッキリと分かる。すると“それ”は僕の顔を覗き込むように、ぐっと前のめりになり僕に向かって、

「あ"=▼b〃⚪︎※□|”v {~ ◽︎ a…!!??」

何かをしゃべってきた。内容は全く聴き取れない。日本語では無いし、そもそもこの世の言語でも無いような気がする。猫が喉を鳴らす音のもっとのぶとい感じの声。

ずっと話しかけてくる。何を言ってるか全く分からない。ただ何故だか分かる。

「女性だ...」

女性の声とは思えないほどの唸るような分厚い声。でも女性なのだ。何故かは僕にも分からないがはっきりとそう分かる。

するとその女性はふと喋るのをやめた。スゥーっと僕の耳元から離れる。1歩、2歩、3歩と来た時と同じ速さでゆっくりゆっくりと帰っていく。部屋を出る、階段を降りる、そしてそのまま1階のリビングを横切り消えていった。

それと同時に体の自由が解放された。しばらく恐怖により体の震えが止まらなかった。ふと時計を見ると大体2時45分、朝はまだ遠い。寝たいけどすぐに寝れるわけもなく、結局その日は朝日がのぼり明るくなるまで寝ることはできなかった。

それから1週間後。。。

“それ”はまた現れた。

(後半へ、、、)

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