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霊感が目覚めた日。〜女性からのお礼〜(後編)

それから1週間後。

“それ”はまた現れた。

パッと目が覚めるとまた金縛り。身体の自由が効かず声も出せない。そしてハッと感じる“それ”の気配。

あの女性だ。

1週間前と全く同じシチュエーション。1階にいる彼女は階段を登って来て僕の部屋の前に辿り着く。部屋に入って来て僕の直ぐそばに。そして、

「あ"=▼b〃⚪︎※□|”v {~ ◽︎ a…!!??」

相変わらず何を言っているか全く理解できない。

そしてしばらくするとゆっくり帰って行く。金縛りが解けベッドからガバッと起き上がる。ハァハァ、と少し荒れた息遣いで時計を見ると2:45。1週間前と全く同じだった。一体何だって言うのか。

それからというもの。

ほぼ毎週といっていい程の頻度で彼女は現れた。時には2日連続のことも。そんな頻度で現れるもんだから、いよいよ僕も彼女の来訪に慣れてしまった。恐怖はいつしか無くなり、金縛りに遭いながらも冷静に彼女の声に耳を傾けれる様になっていた。だが結局何を言っているか理解できることはなかった。

この出来事が起きたのは高校3年生の冬。春になると東京に上京というタイミングだった。結局彼女は僕が実家を出て行くまでの冬の間、何十回も僕の元に現れた。

そして上京する数日前、僕はまたそのお墓の前にいた。理由は自分でも分からないが、1回来ておこうと何故だか思った。何となくお墓を暫く眺めて、手を合わせる。
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上京して東京で一人暮らしを始めてから“彼女”は現れることはなかった。上京して12年経った現在に至るまで一度も無い。

今思うと、あの時の彼女はもしかしたらお墓の人なのかもしれない。ほったらかしにされていたお墓を掃除した僕にお礼を言いに来てたんじゃないか。何度も何度も。

特に彼女が来た事で害があった訳ではないし(寝不足にはなったが)、慣れた後は別に嫌な気分になる事も無かった。そう考えると悪い霊とかではなく、お礼なのか何なのかわからないがただ何かを僕に伝えたかったんだろうと思えた。

ただ1つ、
それからというもの。東京生活の現在、色んな心霊体験にあう。ある時は部屋に誰か来る。またある時は人が行き交う交差点で他の人には見えていない人を見る。そしてまたある時は夢の中にまで。。。

元々ホラーやオカルト、都市伝説みたいなのが好きな僕なのでそれの見過ぎかもしれないが、お陰様でたまに色々見えてしまう。実家であの女性が来るまではそういった経験は全く無かったが、彼女との出来事を皮切りに多少の霊感が目覚めた様な気がしている。

あの女性は今どうしているだろう。
あのお墓はどうなっているだろう。
今度実家に帰った時に会いに行ってみようか。。。


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