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自然体験・アウトドアを仕事にしてみた①「青少年教育施設」って何?

大学卒業後私が14年勤務したのが、青少年教育施設と言われる、主に小学生や中学生の宿泊学習のために整備された公共施設でした。
今回はそもそも青少年教育施設って何?どんなことができるの?という基本的なところからお話ししていこうと思います。


青少年教育施設とは

・青少年教育施設は社会教育施設の一つ

青少年教育施設は、青少年のための教育を行うために整備された施設の一つなのですが、もっと大きくくくると、「社会教育」というジャンルに分けられます。社会教育は「学校や家庭で行われる教育」以外の教育活動を指しています。
もちろん、子どものみならず大人やご高齢の方まで幅広い方の教育を充実させるために社会教育法という法律にも定められています。

具体的な社会教育施設としては、公民館、図書館、博物館などがとてもわかりやすいかと思います。この社会教育施設の一つのカテゴリーとして、「青少年の教育」の充実のために設置されたのが青少年教育施設となります。令和2年度の調査では、全国に840施設あるそうです。

・青少年とは

青少年教育施設というくらいなので、青少年のための教育施設であることは間違いないですが、そもそも「青少年」って誰を指すのでしょうか。実は、当事者(青少年教育施設で働く人)達もあまり意識できていなかったのでは無いでしょうか。

青少年は「青年」と「少年」の二つを合わせた言葉ですが、今やなかなか使わない言葉です・・・。少年というとジャンプが思い浮かびますが、青年は正直ピンときませんね・

厚生労働省の「各種法令による児童等の年齢区分」を見てみると、青少年は「18歳未満」に該当するようです。文部科学省HP掲載の「青少年育成施策大綱(平成15年)」によると、「青年期」を30歳未満と定めています。
青少年がどれくらいの年齢を指すのかは、各法令や場面によって変わってくるようです。

各青少年教育施設がどの年齢を対象としているのかは、地方自治体の公立施設であれば設置管理条例、国立施設であれば法律を辿れば理解できるでしょう。ということで、私が勤めていた南房総市大房岬自然の家の設置条例はこちら!明確に年齢の明示はありませんが、料金体系を見れば誰を対象にしているのかが分かり易いかと思います。

私の理解としては、青少年は概ね乳幼児から高校生までを指すと認識しています。是非お住まいの自治体の青少年教育施設の設置管理条例をチェックしてみてください!(このような機会がないとみないですよね)

・「青年の家」と「少年自然の家」

実は自然体験に関わる青少年教育施設は、「青年の家」と「少年自然の家」という2種類の施設から整備され始めています。青少年教育施設で言うと、そのほかにも「児童文化センター」などが整備されました。

「青年の家」は、昭和三十四年「集団宿泊生活と多様な研修プログラムを通じて健全な青年の育成を図ることを目的」に整備され始めました。この頃(戦後から昭和40年代)の教育環境は、中学校卒業後の進学率も低く、青年(30歳未満の若者)への教育も必要だという観点があったそうです。
皇太子殿下(現上皇陛下) 御成婚記念事業の一環として整備された施設ですがこの話は長くなりますので、また別記事にて。

「少年自然の家」は、昭和四十年代に入ると、身近な工場公害などの環境問題、都市化などに伴い、自然体験や生活体験が貧困になったことなどから、文部省が「自然環境の中で仲間たちとの宿泊生活を送りながら、自然体験、集団体験などを通じ健康で心豊かな人間形成を図ることを目的」に整備され始めました。

「青年の家」や「少年自然の家」の呼称は時代とともに変化し、今では色々な呼び方がされています。関東で言うと、神奈川県立の青少年教育施設は「ふれあいの村」、埼玉県立は「げんきプラザ」などとなっています。呼称ももう少し全国で統一制があればその認知度も上がるのになと思ってしまいますが。

青少年教育施設ではどんなことができるの?

ふー、ここまでで結構な文字数を使いましたが、やっと具体的に何ができるのかをご説明していきたいと思います。
利用者目線、参加者目線でできることを以下にまとめてみました。

①団体やグループでの利用
主に小学校や中学校などの学校行事での宿泊学習、スポーツ団体や部活動の合宿、地域の子ども向けに活動している団体、家族グループなどの宿泊行事から日帰り活動での利用を基本的に受け入れています。大きい施設では400名以上の宿泊を受け入れできるキャパを持っています。
会場のみの利用からスタッフがプログラムの指導にあたってくれる施設もあります。野外炊飯での火の起こし方やアウトドアアクティビティの実施をサポートしてくれたりしてくれる施設もあります。

②自然体験などの出前事業
施設外での出張事業にも対応してくれる施設もあるかもしれません。例えば、クラフトの出張事業や、指導者向けの出前講座、学校や地域のフィールドに出向いての自然体験プログラムの提供など施設によって規定があると思いますが、相談に応じてくれるかと思います。

③施設主催の自然体験イベントへの参加
施設が企画する自然体験イベントに参加することができます。基本的には安価で個人単位で参加でき、地元の方向けに企画されている場合が多いので、是非チェックしてみてください。また、イベントのボランティアスタッフを募集している場合もあります。

④指導者向け研修会への参加
イベントへの参加以外に、自然体験プログラム実施者向けの研修会を開催している施設もあります。自然体験を提供したいと考える方に有益になる研修や情報発信をしている施設もあります。

上記の内容は、各施設の事業計画に基づき実施されているので、内容にばらつきはあると思います。

青少年教教育施設は「国立」もあれば「都道府県立」、「市町村区立」など設置者の違いもあり、ちょっとややこしい・・・。この曲を思い出します。


さて、今回は青少年教育施設の概要についてお話ししました。
次回は。青少年教育施設の経営について外せない「指定管理者制度」について踏み込んで記事にしてみようと思います!


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