オンラインで彼女と話して気づくこと①

 最近、彼女と話して気づくことが多い。適当につらつらと書いていく。
 私と彼女は、遠距離で関係を築いている。彼女が住んでいる場所は、私の家から離れたところにあるため、頑張っても月に2度程度しか、会う機会を作ることができない。そのため、2,3週間は基本的に会えない期間が続くことになる。
 
 元来、私は、人と一緒にいることは好きだが、それでも一人でいる時間を好むことのほうが多かった。一人で自由にお酒を飲んだり、美術館に行ったり、好きな動画を見たり、好きなゲームを思う存分やったりしていた。もちろん友人とこれらをやることも好きなのだが、回数が多かったり、時間が長いと、気疲れしてしまっていた。社交的な皮をかぶって、その内実あまり人づきあいが好きではないのかもしれない。
 恋愛観についても、上記のものをそう外れることはなかった。大学時代の彼女も、月1会えればそれでよかったし、別に通話などはしなくても問題なかった。たまにテキストメッセージのやり取りをするだけ。それで満足だった。相手側は毎週会いたがっていたので、こちらがそれほど感情が強くなかっただけかもしれない。結婚願望などは特になかったし、しても別居婚でいいなと感じていた。子供が一人くらいはほしいなとは思っていたが、養子でもいいな、くらいに思っていた。
 
 しかし、現在、そんな自分とは変わってしまっている。一度会ってから一週間もたつと。もう元気がなくなってくるのだ。寂しく思うし、何をやっても手につかなくなる。自分のこの感情には、自分でも驚いている。人をこれほど好きになったのは初めてかもしれない。
 オンラインで毎日のように話してはいるが、それでは物足りない。やはり、会いたいのだ。

 オンラインとリアルで話すことの何が違うのか。最近ずっと考えていた。顔が見えるか見えないか、そばにいるかいないかしか変わらないのに、何が不満なのだろうと自問自答していた。

 その答えのようなものは、情報の共有の差だろうと思っている。

 例えば、リアルで会っていれば、相手がスマホで何かを見ていると、「何見てるの?」とすぐに画面をのぞけば、何を見ているかがすぐにわかる。リアルであっている状態でペットがいれば、二人で同じ動物をかわいがることができる。リアルで会っているときに、一緒に買い物に行っていれば、「この商品なんだろ」みたいな会話をすぐにすることができる。

 一方でオンラインだとどうなるか。
 相手がスマホを見ているときに、「何を見てるの?」と聞くと、URLを送信して、そのページをみて、今どこを見ているかを教えてもらう必要がある。相手が、そのページの何かを見てリアクションをしているときは、どこをみて反応しているのかを教えてもらうか、自分で推測する必要が出てくる。どちらかにペットがいる状態で、その飼っている側がペットと遊んでいるときは、その間残されるか、ビデオ通話などでその様子を見ることしかできない。相手の買い物を見ているときは、自分はそのお店にいないため、「どんな商品があるんだろう」と探すことはできない。相手が探してくれた品物に対して、評価を与えることしかできない。

 具体的にあげたオンライン側の問題点を、すべて抽象化してみる。すると、気づくこととしては「情報認識のラグ」の存在である。
 リアルでは、同じ出来事を体感することができる。さらに、瞬時に同じものを体験しているため、それに対する反応タイミングも同じものになる。
 一方で、オンラインでは、相手側に発生しているイベントを、実感として自分が体験することはできない。いってしまえば、その状況を受容することしかできない。それを受けて、自分がリアルに行動して干渉することはできないため、傍観しているか、相手に指示を出すなどして、干渉することしかできない。
 もちろん、ビデオ通話で状況を見せてもらったりと、ある種、視覚と聴覚だけで、仮想で体験することはできるのだが、リアルで体験している相手とはやはり反応の差が出てしまう。ここで少し残念な気持ちが心に生じてしまう。さらに、通話中の音声も、なんらかのデバイスおよびネットワークを介しているせいで、音声にラグが生じたり、聞き取れなかったりする。ここでも、少し残念な気持ちが心に生じる。
 この情報認識のラグが、オンラインの物足りなさというか、残念な部分だと感じる。

 私に限らず、多くの人がこの認識のラグに不満を持っているだろう。今回はオンラインの例であったが、話が伝わらない人や、何回も同じ話をする人に対して嫌な気持ちが生じるのも、この認識のラグの一種だろう、といえば、わかりやすいのではないだろうか。

 この認識のラグであるが、オンラインでも生じにくい媒体がいくつかある。その一つがゲームである。
 ゲームでは、画面の中の仮想世界で、キャラを操作して遊ぶ。人と遊ぶ時は、この同じ仮想世界の中に、私が操っているのとは別のキャラを使用して入ることになる。お互いに、同じ仮想世界に入っているのである。するとどうなるか。イベントが発生したときに、認識のタイミングがほぼ同じものになる。つまり、リアルで会っている時と同じような状態で、リアクションをすることができる。
 ほかにも、AmazonのWatchParty機能もこの一つだといえる。同じ映画を、同タイミングで視聴しているため、認識の差がほぼ生じず、同タイミングでリアクションをすることができるのだ。

以前の記事「ゲームについて」でも書いたことだが、現在コロナの状況下で、情報の双方向において需要と供給が満たせるこれらの媒体が流行することは必然といえるかもしれない。

 とまあ、いろいろ書いては来たが、つまり何が言いたいかというと、オンラインは物足りないから会いたいなあ、である。



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