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「存亡の危機」

2016年度の「国語に関する世論調査」では、「存亡の機」を使うという人が6.6パーセント、「存亡の危機」を使うという人が83.0パーセントでした。

出典は『戦国策』で、次の一文に由来します。

計者事之本也。聽者存亡之機也。
計は事の本なり。聽は存亡の機なり。

(『戦国策』「秦策二」)

生きるか死ぬかのタイミングなので、「存亡の機」というわけです。

生存が危ぶまれることを示したいのなら、「存亡の危機」よりも「存続の危機」の方がよさそうですが、「存亡」を帯説(たいせつ。対語の片方の意味が薄れること)と解して「存亡の危機」でも誤りとはいえない、といった見解もあります。

とはいえ、単純な話「存亡の危機」は原典の取り違えで、帯説云々はその取り違えの是非を後付けしたものでしかありません。

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