見出し画像

「論を『待』たない」?

「論を待たない」が完全に誤りというわけではありません。ただ、これはもともと

固不俟論(固(もと)より論を俟(ま)たず)

という慣用表現から来ているので、通常は「論を俟たない」と書きます。

「まつ」には、大きく分けて「到来するのを望む」「必要とする」の2つの意味があり、前者には「待」が、後者には「俟」が当てられますが、絶対的なものではなく、それぞれもう一方の意味で用いられることもあります。

百年俟河清
百年河清を俟つ
傳其人、不待告
その人に傳へて、告ぐるを待たず
(わかる人に伝え、言葉を必要としない)

(『史記』天官書)

皆様からの尊いご寄付は、今後の執筆活動に活用させていただきます。なにとぞご支援を賜りますようお願い申し上げます。