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「おもねない」?

「おもねない」ではありません。正しくは「おもねらない」。

「おもねる(阿る)」はラ行五段活用なので、

おもね(語幹)-
ら(未然形)/り(連用形)/る(終止形)/る(連体形)/れ(仮定形)/れ(命令形)

と変化します。

打消の助動詞「ない」は未然形に続くので「おもねらない」。接続助詞「て」や過去・完了の助動詞「た」は、連用形に続いて「おもねりて」「おもねりた」、これが促音便化して「おもねって」「おもねった」となるので、「おもねて」「おもねた」も誤りです。

近年、「おもねない」のような、活用語尾のラ行音が脱落した下一段活用の形が許容される動きもありますが、文法に影響を与えるような形態変化を看過するわけにはいきません。安易な言葉の変化を認める風潮にはおもね「ら」ないようにしたいものです。

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