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「分」は十分の一? 百分の一?

日本を含む東洋の命数法では、一(いち)未満の小数には1桁毎に下記の呼称が付けられています。

分(ぶ):0.1(十分の一)
厘(りん):0.01(百分の一)
毛(もう):0.001(千分の一)
糸(し):0.0001(万分の一)
忽(こつ):0.00001(十万分の一)
……

ところが、野球の打率で「.256」は「2割5分6厘」と言うのだから、割が十分の一であって、分は百分の一、厘は千分の一になるではないか、と勘違いしている人がいるようです。

また、以下のサイトでは、「割合を表すときには、10分の1に『割』が割って入って、後は1桁ずつ繰り下がる」と説明されていますが、正しい理解とはいえません。

冒頭の小数を表す命数法は、一の位に付ける基準単位の直後に続けて使う、というのがポイントです。例えば、

13分5厘(長さ)
13分5厘(質量)
387分(温度)

のように、一の位でひとまず基準単位(寸、匁、度など)を付けて、その後に小数部分を分、厘、……と続けて表します。すなわち、これらの例では、それぞれ「1.35寸」「1.35匁」「38.7度」と解釈できます。

割合を示す「割」も、寸や度と同じく、基準単位の一つです。したがって、「2割5分6厘」なら「2.56割」を示しているに過ぎず、分や厘がそれぞれ(割の)十分の一、百分の一である点は何ら変わっていません。割は、分や厘のような命数の単位では決してありませんし、まして割合の場合だけ割り込んできて下の桁を繰り下げる、というような性質のものでもないのです。

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