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あり「う」る? あり「え」る?

もともと文語で「あり得(う)」という下二段活用の動詞なので、「ありうる」が本来の形のように見えます。

しかしながら、文語から口語へ変化していく過程で、二段活用の動詞は一段活用化するのが通例です。「燃ゆ」(下二段活用)が「燃える」(下一段活用)となるのがその例です。そのため「得(う)」も、単独の動詞として用いる場合は下一段活用に変化した「得(え)る」が広く使われています。

ところが、「あり得(う)」の場合、連体形「ありうる」が文章語として固定されたためか(『日本国語大辞典』精選版)、終止形も「ありうる」となって活用語尾に「う」が温存されるという、変則的なケースとなっています。他にも「発生し得(う)る」など、複合動詞として使う場合は「うる」と読まれる傾向にあります。

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