欧文約物の使い方──アポストロフィー「’」
アポストロフィー「’」(Unicode:U+2019)は、欧文で使われる約物です。主として、文字の省略を示すのに用いられます。
以下、主な言語の用法をまとめました。
英語
所有の接語
古英語の所有格語尾-esに由来するものです。単数形の所有は-’s、複数形の所有は-s’となります。
the bird’s(単数形)
the birds’(複数形)
be動詞、助動詞、否定 not の接語
I’m (<I am)
He’ll (<He will)
aren’t (<are not)
その他の省略表記
’cause (<because)
gov’t (<government)
int’l (<international)
ドイツ語
音の省略
ist’s (<ist es)
hab’ (<habe)
フランス語
エリジオンによる母音の脱落
l’enfant (<le enfant)
j’aime (<je aime)
省略表記
aujourd’hui (<au jour de hui)
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Unicodeの符号位置は、右引用符「’」(U+2019)と同じです。日本語のキーボードで「Shift」を押しながら「7」を押すと出てくる「'」(U+0027)には、「アポストロフィー」という名称が付けられてはいるものの、これはかつてタイプライターや初期のコンピューターで搭載できる字数に制限があった時期に、複数の似た字形を統合した経緯があったためです。現在、「'」(U+0027)は、右引用符、アポストロフィーいずれの用法としても推奨されていません。
使用が推奨されている「’」(U+2019)は、「Alt」キーを押しながら、テンキーで「0146」を押すと入力できます。
数学の微分、時間の分、長さのフィートなどに使うプライム(いわゆる「ダッシュ」)「′」(U+2032)とは違いますので、注意が必要です。
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