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「休まさせていただきます」?

いわゆる「さ入れ表現」または「さ入れ言葉」と呼ばれるものです。これは、使役の助動詞「せる」「させる」の混同が原因です。

「せる」は五段活用の動詞及びサ行変格活用の動詞の未然形に接続します。「休む」は五段活用ですから、未然形は「休ま」。これに「せる」が続いて「休ませる」となります。サ変動詞「する」の未然形には「し」「せ」「さ」がありますが、このうち「せる」が接続するのは「さ」で、「努力させる」などとなります。

「させる」はこれら以外の活用の動詞の未然形に付きます。例えば、下一段活用動詞「受ける」の未然形は「受け」なので、「させる」が続いて「受けさせる」となります。

言い換えると、未然形の活用語尾がア段で終わるものに「せる」が、ア段以外の未然形の活用語尾に「させる」が続くことになります。「受け」の活用語尾はエ段なので、ア段の音を含む「させる」が付きます。「休ま」の場合、活用語尾自体に既にア段の音が含まれているので、後ろにア段の音を重ねる必要はなくなり、「せる」で事足りる、というわけです。サ変動詞の場合は「させる」になりますが、これは「する」の未然形「さ」と助動詞「せる」に分解できるので、やはりア段の未然形に「せる」が続くことが確認できます。

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